○…能登半島地震では、石川県内だけで80万6,000トンもの災害ごみが発生したという。
このうち珠洲市が最も多く28万2,000トンであり、これは同市が2021年度に処理した一般ごみのおよそ64年分にも達する。また珠洲市のみならず、輪島市なども通常の約17~22年分に相当する量の災害ごみが発生している。実に膨大な量だ。
発生した災害ごみは、震災前には地域の生活を支えていたもの。このボリュームの分、生活が破壊された事になる。しかも生活を支えていた物質が今度は復興の阻害要因となろうとしている。
今回の地震により、能登地域の焼却施設・し尿処理施設など計11施設が使用不可になっている。能登特有の地形から、仮設住宅の建設地ですら、取り合いとなっているなかで、災害ごみを一時的に保管しておける場所があまり取れないということもあるため、災害ごみの処理が進まなければ、地域の復興もそれだけ遅れてしまうということになる。
東日本大震災の場合は、それでも災害ごみを運ぶことはできた。そのため、他地域のごみ処理施設や、セメントプラントでも燃料として処理を受け入れることができた。しかし今回、半島地形で、道路がもともと少ないうえに、寸断されている状況のままでは、災害ごみの輸送もままならない。例え輸送できたとしても。ごみ処理施設の復旧ができなければ処理もできない。そういう訳で、災害ごみの処理に関して今回は、東日本大震災よりも厳しい状況と言えるかもしれない。
13年前の震災ではいくつかの仮設焼却炉が建てられ、そこでの処理が行われた。今回も同様の施設が必要となるはずだが、それをどこに建設できるのだろうか。復旧には実に多くの時間が必要となりそうだ。
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