○…新年早々、能登半島で大きな震災が発生した。様子が明らかになるにつれ、災害の範囲の広さとその大きさに身がすくむような思いがする。多くの倒壊した家屋、ひび割れた道路、取り残された人々の様子などの情報が伝わる度に、大変なことが起きてしまったと改めて震撼する。この復興には、これまでの大震災同様、多くの時間と費用、人手が必要となるだろう。
一方、昨年末までの取材で、多くの声が聞こえたのが、建設コストの上昇と建設業者の人手不足問題である。国内では多くの民間設備投資が計画されており、業界にも多くの問い合せがあるという。しかし、そこでの課題は建設コスト。価格が落ち着くまで投資を先延ばしにしようという動きもあるというが、誰に聞いても、コストが下がる要因がどこにもない。
しかも今後は、脱炭素関連の工事も具体化していく「北海道と熊本の半導体と万博に業者を取られてしまっている」という声も聞かれるような現状のなかで、必要な投資も待っている。建設や輸送業の労働規制が始まる4月以降、この人手不足の状況はさらに逼迫していく。さらに今回、能登の復興という大きな作業も進めなければならなくなった。「万博なんかやってる場合ではない」という声もSNS上には多い。リソースが不足する中で建設の「トリアージ」が必要であるとすれば、万博は真っ先に切られてしかるべきだろう。
建設業者からは「万博の工事には手を出さない方がいい。やけど程度では済まない」という声もあるという。受注するならば、エスカレーション条項や不可抗力条項を契約に盛り込んでいく必要があるが、その交渉が可能かどうか。
今後、能登では仮設住宅の建設や、道路、水道、ガス、電気など各種インフラ設備復旧など多くの仕事が必要となる。一方で海外パビリオンは仮設建設物なので、震災の仮設住宅とメーカーが被らないか、という心配もある。今後は建設業者も復興事業や民間投資案件を優先して取り組んでいく必要がありそうだ。
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