○…仕事柄、これまで多くの記者会見に参加してきた。単なる製品発表や事業説明、再建計画など、比較的おとなしい内容の会見ばかりだが、時にはやはり企業や役所側にとって聞かれたくないことを聞かねばならない場合もある。自分は比較的おとなしい質問者であると自認しているものの、たまには他の記者から「随分、突っ込んで聞くんですね」というようなことを言われる時もある。
自分の場合、他の記者が厳しい質問をしたところで、それを迷惑だと感じることはない。むしろ、自説を長々と話して、何が聞きたいのだか良くわからない記者というのが一番迷惑だと感じる。自説を延々と述べたいなら、その記事を書けばいい事だ。
ジャニーズ事務所の会見が問題になっているなかで、やはり筋が違うのでは無いか、という部分が多々ある。まず前提として、この会見は犯罪史上まれに見る悪質な犯罪者と、それを隠蔽してきた事務所の数十年にわたる共犯関係で、おそらく1,000名を超えるであろう多くの性被害者を生み出してきた、大規模な犯罪事件に関するものだということ。その事務所の会見で、1社1問限りはまあ良いとしても、追加質問を認めない、さらに一部記者の指名NGなどあり得ない。会見の運営方法がまず間違っている。
また、その弁解のなかで気になったのは、「会見はガス抜き」という事務所側の言葉である。上記の前提を理解していないのではないか。自らどんどん泥沼に入り込んでいるようだ。
自らに非がある場合の会見は、すべてを明らかにするつもりで望まなければならない。どうしても答えられない場合には、一般に理解される理由を提示できなければならない。信頼を失っている状態が出発点なので、その傷を拡げず、信頼回復に繋げるには、屁理屈や小細工は厳禁なのだ。地熱暴噴事故での三井石油開発はその点、良い対応をしてきたと思う。
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