○…国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、今年の猛暑を「地球沸騰化」と表現した。世界の平均気温が観測史上最高となったことから、この言葉を使ったものだ。
確かに、今年の夏はとても暑かった。日本でも気象庁が今年の夏を過去126年で最も暑い夏となったとしている。実感としても「温暖化」というマイルドな表現ではもう、この気候変動を表現しきれない。
地球沸騰化の影響で、シベリアの永久凍土の中で約4万6000年眠っていた線虫が目覚め、動き出したという論文が米国のオンライン科学誌プロス・ジェネティックスで発表された。この線虫はシベリアのコリマ川沿い、地下40mの永久凍土にあったネズミの巣穴の化石から採取された。水を加えて解凍したところ動き始め、その後100世代も増殖したという。
そこは約4万6000年前から凍結していたことが確認されている。長期間凍結された生物が解凍されて蘇生した記録としては最長記録という。幸い、この線虫は寄生性ではないということで、人体に害を与えるものではない。しかし人体に寄生する線虫が今後、永久凍土の中から復活しないとも限らない。
現在、氷河や永久凍土は急速にとけており、未知のウイルスなどが現れる可能性を指摘する研究者も増えているという。
それでなくとも地球沸騰化は生活に直接影響を与えている。水害が増加し、その強度も年々強くなって、被害は拡大の一方だ。
暑さに強いはずの夏野菜ですら、暑すぎて生育できず、夏に夏野菜が高騰するという事態になった。海の温度が変わってしまったため、従来の漁場で捕れるはずの魚が捕れなくなってしまっている。食料価格が高騰しているだけでなく、今後一次産業が継続できるか、不安も増している。不確実性が大きくなってきた。「地球沸騰化」のさなかで、戦争なんかやってる場合じゃない。世界は軍事よりも沸騰化対策に予算を回して行かなければならんのである。
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