○…三井石油開発が北海道蘭越町の地熱開発で暴噴事故を起こした。当初は「こりゃあ随分と有望な地熱資源だ!」と楽観的だったが、ヒ素が検出されたことで、ちょっと厄介なことになった。
硫化水素やヒ素は、地熱開発だけでなく、温泉地や火山性ガスにも含まれる。地中からこれらの有害物質がでてくること自体は、ごく自然な成り行きであり、それ自体は事業者の責任ではない。通常であれば地熱蒸気は発電をした後に還元井から地中に還元する。これによって有害物質が環境中に放出されることは殆ど無い。しかし暴噴という状況では、コントロールすることができない。一刻も早く暴噴を止める必要がある
石油・ガス資源開発の経験が少ない日本でも、地熱掘削が可能である以上、このような暴噴事故に対応できる会社はあるはず。検索してみると、いくつかの企業がヒットした。例えば大原鉄工所では防噴装置を製作している。ただ通常、石油・ガス掘削で使われる暴噴防止装置BOP (blowout preventer)とは名称が異なるので、こうした事故に大原鉄工所の装置が使えるのかどうかはわからない。
また掘削時にBOPが設置されていれば、暴噴も抑えられるが、TV画面を見ている限り、BOPは設置されていないように見える。
地熱蒸気の暴噴防止では、秋田市に「ベッツ」という地熱や石油・ガスの掘削に関するドリリングエンジニアリング会社があり、掘削時の噴出事故への対応に知見を持って居るという。
こうした地熱や掘削の専門企業の技術や知見があれば、この事故への対応も可能だろう。しかしBOPの製作搬入、暴噴井へのアクセスなどハードルも高い。蒸気の温度や圧力条件も難易度は変わる。住民の安全や、今後の地熱発電、ひいては将来のCCS市場のためにも一刻も早い対応が期待されるが、まずは二次災害のないよう、安全第一で対策を進めてほしい。
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