○…ナショナルジオグラフィックの記事が日経電子版に紹介されていた。タイトルは「カメは夜も“日なたぼっこ”、初の世界調査で明らかに」。今年3月に学術誌に論文が掲載されたもので、カメが夜中に甲羅干しをする姿に気づいた研究者が、世界調査を行ったことで、新たな事実が分かったという話である。
カメは通常、日中に甲羅干しをする。それは体温を上昇させることと、ビタミンD合成、寄生虫を取り除くことが目的で、夜に甲羅干しをするとは考えられていなかった。
しかしある晩、二人の科学者がオーストラリアのロス川でカヌーに乗っていたところ、月明かりを浴びたカメが甲羅干しをしていた姿を見た。後日、この話を周囲に話したところ、その行動を知っている科学者はおらず、夜の甲羅干しに関する研究も存在しなかった。そこで二人は世界規模で調査を開始したところ、世界各地、6科13種のカメが夜の甲羅干しをしていることを確認。しかも昼より夜の方が長く甲羅干しをする傾向があったという。カメの間では広く行われていた行動を、人が知らなかったというだけだ。
では夜の甲羅干しの理由は何か?集められたデータから、この行動は熱帯と亜熱帯のカメのみで観察され、赤道付近でより多く見られた。このことから体温調節が関係していると考えられる。その後の研究で、カメはどうやら、水温が適温より高い場合、気温の下がる夜に水上に上がって、体温を下げていると考えられるという。
夜の甲羅干し行動の報告が増えると、それだけ温暖化が進んでいるということになり、温度変化に弱い動物の絶滅の危機が懸念されることになる。その判断のベースラインが出来たということがこの研究の価値と言えるだろう。
ちなみに、二つの生成型AIで「カメが夜中に甲羅干しをするのはなぜ?」と入力したところ、チャットGPTはキチンとした回答があったが、もう一つのAIからは「カメが夜に甲羅干しをすることはありません」と完全否定されてしまった。
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