○…新型コロナ感染症が5類となった。とはいえ、このウィルスの脅威が完全に消えたわけでは無い。発症前に感染力を持つことと、変異のスピードが早いことなど、これまでのウィルス感染症のなかでも割とやっかいな部類に入る感染症であり、まだ完全に終息したわけでもないので、油断はできない。
ウィルスと言えば、宿主の細胞が無ければ増殖することが出来ないと言われている。自己複製能力が無いということで、本当に生命体なのか?という疑問もある。進化論的にも宿主たる細胞生物が発生してからでないと、ウィルスが発生できない、という考え方が従来は一般的であった。
ところが最近では、ウィルス後発説がどうも怪しくなってきた。実は地球上の至る所でウィルスが発見されるようになっており、地球上で最も多い生命体とまで言われるようになっている。
そうしたことから地球上に初期の細胞生物が発生する以前に「RNAワールド」が存在したとする仮説も出ている。他の生命体がいないなかで、環境中でRNAを複製して広がり、それがDNAへと変化、細胞膜などの組織を持つように成っていったという考えだ。
こうした考えからすると、我々は常に様々なウィルスに取り囲まれていることになる。そのごく一部が病原性を持ち、感染力を持つよう変異することでパンデミックが起こる。ウィルスはどこからかやってくるのでは無く、むしろ我々がウィルスの中にいる。
ちなみに人間のDNAには、生物がかつて感染したウィルス遺伝子情報も組み込まれているという。中でも哺乳類が持つ、他の生物に殆ど見られない組織である胎盤は、あるウィルスによってもたらされたという報告がある。ウィルスは病気にさせられるだけでなく、生物の進化にも大きく関与している可能性があるという。生物の歴史は本当に奥深い。
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