○…今年の東京の桜開花日は3月14日だった。平年より10日も早く、2020~2021年と並び、統計開始以来、最も早い開花となった。
気象庁の記録を見ると、東京の桜の開花は1960年頃には春分の日~3月末頃である。1970年代でも3月末頃が多く、4月に入ってからの開花の記録もある。1980年代には4月の開花が多く、この時期には一時的にやや寒冷化していたように見える。この時期には、桜は入学式を彩っていたのだ。それが1990年代に入ると、4月の開花は見られなくなり、一週間ほど早まっている。1960年代に戻ったような印象を受ける。つまり入学前の春休みの時期が桜の見頃となっていた訳で、花見の場所取りがちょうど新入社員の最初の仕事となる頃合いだ。
2000年代に入るとさらに開花が早まる。2002年には3月16日開花という記録があり、他の年でも、3月20日前後に開花となっている。2010年以後も同様だが、3月20日前の開花が目立つようになり、ついに3月14日開花という早さになった。
東京だけでなく全国の桜の開花を気象庁の記録から調べた人によると。4月1日の桜開花は、1961~1970年では九州や四国、東海の一部であったが、1998~2007年では北関東まで北上した。
ソメイヨシノはすべての木が同じ遺伝子を持つクローンであるため、開花条件は同じ。だから同一地ではほぼ一斉に咲くのだが、そのため、開花時期を追っていくと気象条件の変化が見えやすい。温暖化の影響を視覚化するには、ちょうど良い標本にもなる。実際、地球の平均気温のグラフ化したものと、桜の開花日をグラフ化したものは、かなり相似性が高く見える。
今年は1~2月に寒い日が続いた。この冷え込みが桜には必要なのだが、温暖化が進んで冬の冷え込みが弱くなっていくと、桜の花も今より寂しいものとなっていくのかも知れない。
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