○…H3ロケットの打ち上げが出来なかった。これを「中止」と呼ぶべきか「失敗」と呼ぶべきかという、一見どうでもいいような話がネットで盛り上がっている。事後の会見上で、一人の記者がしつこく「失敗かどうか」の言質を取ろうとしていたことへの反感があった。一方で「打ち上がらず」という、中途半端で語呂の悪いタイトルへの違和感などもあり、色々な主張がツイートされており、なかなか興味深い。
「失敗」と言える根拠はいくつか見受けられる。まず第1に、H3はこれまで何度も打ち上げ予定が延期されてきており、当初の予定から既に2年以上も経過。直前にも天候を考慮して延期された。さらにメインエンジンには点火したのに「正体不明の異常が起きて…意図的ではなく止まっちゃったよということは一般に言う失敗ではないか」と記者に質問されてしまう。不足の事態がそこでは起こっているので「失敗」とう表現は問題ない。
一方、JAXAの説明によれば、機体システムが何らかの異常を検知して固体燃料ブースターへの着火の信号が送出されなかったという。点火信号が送られなかった原因は調査中だが、より重大な事象を事前に止めたのだから、制御システムが健全に機能したと言える。実際、数十億円のロケット本体と、搭載された衛星は無傷で済んでいるのでそこはちゃんと評価されるべきだ。とはいえ、衛星の運用開始が予定通りに出来ないということは、ペナルティに値する事態である。
技術開発プロジェクトではトライ&エラーが普通なので、これまでの延期は致し方ない部分もり、その意味では「失敗」ではないかも知れない。ただ原因がすぐに判明できないような不測の事態を招いたことは確かであり、「打ち上げ」が失敗したことは間違いない。
ただ開発そのものが失敗した訳ではない。3月には再度H3の打ち上げ行われる。今度は綺麗にH3が打ち上がる映像が見られると期待している。
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