○…アフリカン・ポップスを聴くようになって以来、アフリカへの親近感が増してきている。日本人の耳に馴染みやすいメロディーラインと、コラやンビーラなど民族楽器を上手くポップスの楽曲に組み込んだアレンジで構成されており、とても心地良いサウンドとなっている。歌詞は英語のものもあるが、フランス語や現地語など多くの言葉が使われていたりするので、よく分からないのだが語感が面白かったりするので、それはそれで楽しめる。
そういう音楽を聴いていると、アフリカの人の心情まで伝わってくるような気がしてくるから不思議だ。日本でもありそうな歌などは、「人の感性は日本とアフリカでそう変わらないものだ」ということを気づかせてくれる。
欧州はアフリカとの距離が近く、アフリカ出身のミュージシャンが欧州でデビューすることもよくある。そのため欧州のポップスがアフリカンポップスの影響を受けて変化してきていることも、数年前から指摘されている。かつて暗黒大陸と呼んでアフリカと断絶していた欧州はいまや、アフリカとの心的距離を大きく縮めてきた。
そしてアフリカは今、音楽だけでなくエネルギー問題でも注目されだした。アフリカでは再生可能エネルギーが効率的に得られる。これを利用してグリーン水素やアンモニアを生産し、ロシア資源からの代替先を求めている欧州に供給しようという計画が相次いでいる。エネルギーインフラでも欧州とアフリの距離は縮まってきた。
日本政府は、アフリカ開発会議(TICAD)を3年に1回開催している。日本にとってはまだ、アフリカはインフラ開発対象国という捉え方が強く、文化的交流は比較的少なく、日本とアフリカの心的距離もまだまだ遠い。前回にチュニジアで回されたので、2025年には日本で再びTICADが開催されることになるが、それまでには、もう少し心理的な距離も近づいていて欲しい、と願っている。
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