○…「太陽光発電は産業政策としては失敗だった」という声をたまに聞く。再生可能エネルギーを推進している団体でも、同様の話がでるほどなので、この考え方は広く定着しているようだ。
確かに、太陽電池パネル製造では元々日本が世界をリードしていたが、現在ではほとんどが中国製パネルとなって、国内メーカーは撤退してしまったので、太陽光発電産業が成功したとは言い難い。しかし、産業育成という面で失敗だった、と言うのはやや違和感がある。
太陽電池パネルは輸入ものとなったが、太陽光発電関連の建設や電気設備、メンテナンス、サービス事業などは国内事業者が手掛けており、産業としてはそこそこ育ってきている。特にアグリゲータ事業などは太陽光発電の普及拡大がなければ、ここまで拡大し得なかったと言える。発電設備を供給することだけに捕らわれる必要はないのではないか、と考えるようになってきた。
風力発電も同様に、国内の大型風車メーカーはいなくなってしまった。そして中国が世界最大の風車を開発し、日本もその導入を検討している。となると、風力発電も「産業としては失敗」と言われてしまうのだろうか。しかし、風力発電でもメンテナンスは欠かせない。また鋼構造物やブレードの補修など関連事業は日本に多くの産業基盤がある。海洋工事も国内事業者が中心に手掛ける。風況予測と入ったサービス事業も生まれてきた。秋田県能代市では、洋上風力のメンテナンスのために地元産業が立ち上がっているという。基地港も完成し、今後工事に向けて多くの人がそこに集うことになり、地元への経済波及効果も期待されている。洋上風力事業者が、資本の一部を地域に売却し「市民電力」としての側面を持つようになると、さらに地元への還元が拡大し地域共生を図ることができるようになる。
発電設備が国産で無くとも、そこで生み出された価値は国内のものである。その価値を如何に最大化していくかを考えることも重要だ。
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