○…電気やガス、ガソリンから食料品まで、生活のほぼ全般にわたって物価がどんどん上がっていく。もう値上げのニュースには飽き飽きしているなかで、ある意味で日本という国の現在地点を象徴するような値上がりがあった。
Apple製品の日本での販売価格の大幅値上である。
ビックリしたのはその値上げ幅。最新版のiPhone13は1万9,000円。最上級版のiPhone13ProMaxでは2万5,000円も高くなった。中国製のエントリータイプのスマホは2~3万円で買えるものもあるので、価格上昇分だけで別のスマホが買えてしまう。
廉価版と言われるiPhone SEでも価格は5,000円値上げされ、6万2,800円となった。このSEは当初、主に低所得国向けに開発されたものだが、日本でも性能の高さと価格で人気となった。
Appleの今回の値上げは、現在の円安水準が当面続くと見ての値上げと見られている。価格を上げなければ日本向けの販売は採算が悪化するということだ。しかもAppleは国内のスマホ市場で約半分のシェアを持つ。それだけ高いシェアがあるからこそ、これだけの値上げに踏み切ったということかもしれない。
廉価版のiPhoneSEは今、中価格帯商品であり、このまま円安が進行すると日本では高価格帯に入るようになるかもしれない。それだけ、日本の購買力が落ちているという証の一つとなる。
ビッグマック指数では逆に、日本での販売価格が安いといわれている。ただビッグマックは各国でサプライチェーンが異なり、製品としては全く同質ではない。iPhoneは全世界で全く同質の製品なので価格が上がり、ビッグマックは低価格のサプライチェーンがあるので、世界から比較すると安いということになる。
つまりこれらは結局、同じことを示している。日本の購買力の低下であり、国際的に日本の価値が下がり続け居ているということ。早急な立て直しが必要だと思う。
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