○…初めての電力需給ひっ迫警報が東京電力および東北電力管内に出された。地震によって複数の火力発電が損壊し、それらの復旧が出来る前に、3月中旬にしては真冬並みの寒さとなったことで、都内でも雪になった。しかも天候が悪くて太陽光発電は稼働しない。これらの要因が重なって、危うく大規模停電となりかけた。しかし、西日本からの電力供給を受けたほか、テレビなどを通じて、繰り返し節電要請が行われたことで、大規模停電の危機は脱した。
この日、日中の供給余力は一時マイナスになっていたので、他の電力会社からの電力融通でなんとかなったのだろう。また夜にかけて暖房需要の増加が予想され「8時台には停電の危機」などと言われていた。しかし供給余力はその間、増えていた。これも電力融通のためか、それとも各方面での節電努力のたまものか。節電によるものとすれば、こうした時のテレビの影響力はやはり大きい。
とはいえ、結果的に人々が寒さに震えながらエアコンやヒーターをガマンしなければならないほどの逼迫ではなかったので、あまり無理しなくても良かったのではないか。なんと言っても健康第一である。
15年ほど前なら、電力の逼迫は夏場の昼に限られていた。冷房需要のピーク時に「あと3%しかない」と電力会社が冷や汗をかいたという話も聞いたことがある。しかし、電力を巡る状況は大きく変った。
太陽光発電の普及拡大で夏場のピーク時に、供給力が拡大。その一方、マンションの気密性の向上などで石油・ガス暖房が使えなくなり、暖房も電力に依存するようになって、電力需給の逼迫は冬のものとなったのだ。
今回の需給逼迫で原子力再稼働を、という声も出たが、電力融通が有力であったことを考えると、まず電力供給の柔軟性をさらに拡大していく事のほうが重要だと思う。昔に比べればかなり進んできたが、今後は送電網の統合や基幹直流送電の整備もより求められるだろう。
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