○…ロシアのウクライナ侵攻が長引けば、原油価格は200ドルに達するという見通しがある。ロシアからのLNG供給が途絶えるだけで、日本のガス価格は跳ね上がることになるだろう。価格が上がるだけならともかく、一部で供給制限なんてことにもなりかねない。そのうえ、有事には円は下がる。ここまで色々と重なると日本経済へのダメージも大きく、とんでもないことになるかもしれない。
日本政府はこれまで、輸出産業への配慮から円安を歓迎してきたが、今は円高シフトの議論を進めていくべきだ。エネルギー価格が跳ね上がっていくとき、国内に資源を持たない国としては、自国通貨の価値を上げていくことで、エネルギー価格上昇の影響を抑えることができる。
それでは輸出が苦しくなる、という声がすぐに出てくるが、マルチカレンシーが一般的な今となっては、単純に円高だけで経営が切羽つまるということはあまりない。実際、かつて80円台にまで円高が進行した際にも、トヨタはちゃんと利益を出していたではないか。
日本は資源供給の面で、世界のエネルギー問題に対応することができない国だ。それでも脱炭素は石油価格上昇への対抗力となりうるし、世界に広がっていけば石油価格の影響は全世界で弱くなっていく。ただ、それにはまだまだ時間がかかる。国内経済への影響の大きさを考えれば、今はまず円高志向を高めていくことが必要だ。
戦争を目の当たりにして、核武装論をヒステリックに主張する向きもあるが、全面核戦争が怖くて、実際にはほぼ使い物にならない核兵器など、うっちゃっておいて、購買力を高めるための円高シフトこそ、優先的に議論すべきテーマだ。
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