○…東洋経済オンラインで、「日本の中高生だけが柔道で亡くなる驚きの実態」という記事が載っていた。日本では1983年度から現在まで、中学校・高校の学校内における柔道事故によって、121人の生徒が亡くなっているという。亡くなっているだけではなく、柔道の技を受けて重い脳障害が残った事例や、何年間も意識不明のまま寝たきりとなっている事例もある。昨年でも、急性硬膜下出血などの重大事故や、死亡事故が発生している。
これだけでも問題だが、驚きは被害者家族の海外調査の結果、こうした事故が起こるのは日本だけだったということ。日本よりも柔道人口の多いフランスでも重大事故や死亡者はゼロ。他の国でもそうした事故は報告されていなかった。この結果を文部科学省に伝えても「そんなはずはない」と信じて貰えなかったという。だがその後文科省が行った調査でも結果は同じだった。
何故か。「他国には柔道を安全に指導するための施策が構築されている」。安全に指導できるコーチの育成が確立されているのに対して日本では「一部の指導者に安全に対する配慮が足らないのではないか」という声が柔道界からも聞かれる。既に全柔連はこの問題に対して取り組みを始めているが、まだ現場には行きわたっていないのが実情だそうだ。また、柔道は危険だという意識があるため、学校の指導者が柔道を避ける傾向があり、結果的に日本の柔道人口は減少の一途だという。
別の話題で、コロナによる自粛で高校野球の選手たちは「練習が減ったら球速がアップした」。スケジュールに余裕ができ、自宅で自分達で練習したことが奏功した。「野球の障害は圧倒的にオーバーユースによることが多いので、練習が減ったことの影響は大きい」という。
指導者の役割というものをもう一度、考え直すべきだろう。 |