○…ここ何年間も、音楽にさほど関心を寄せていなかったので、積極的に特定のジャンルを聞こうとはしなかった。何となく耳に入ってくる曲や歌に耳を傾ける程度であった。
しかしここのところ、アフリカのポップスを聞き込む様になっている。ユッスー・ンドゥール、サリフ・ケイタといった有名なアーティストは昔から好きだったのだが、最近はさらに深みにハマっている。特にアフリカ伝統楽器「コラ」は綺麗な音色で、なかなか気に入っている。
アフリカンポップスの魅力はというと、一つはやはりリズム感。これは的でも西欧的でもない、心地よいものがある。最近の欧州のポップスは、アフリカンポップスのリズムを積極的に取り込んでいるようにも思う。
もう一つは意外にもメロディが日本人に馴染むということがある。メロディの一部だけ聞いてみると、まるで歌謡曲か演歌っぽくもある。それがアフリカのリズムに乗ってくる。哀愁感のあるメロディが割と多いのも特徴だ。
勢いに乗って「アフリカンポップス」という本まで読み始めたところだ。しかしすぐに、色々と考えさせられた。植民地であったアフリカ諸国。奴隷貿易もあって、突然遠い地に家族が連れ去られるということもあった。家族を思う郷愁が、哀愁感のあるメロディに繋がっていく。この郷愁を「サウダージ」と言うらしい。
また一方では、独立運動で音楽が大きな役割を担ったということも特徴だ。タンザニアでは「ターブラ」と呼ばれる音楽で民衆の支持を集めて、独立に成功したと言う話も載っていた。アフリカの音楽には、そうした歴史を背景とした人々の感性が込められている、と感じている。 |