○…理化学研究所のスーパーコンピュータ「富岳」が計算速度で世界一になった。2011年世界トップとなった「京」以来のことで、新聞各紙が報じている。ただ世界一位といってもその期間は短いものとなるのは必然。直ぐに中国か米国にトップを奪われることになるだろう。
「京」と言えば民主党政権時代の事業仕分けで見直しが要求された。それは「世界1位であることの必然性」を理研も文部科学省も明確に説明できていなかったためだ。「京」のプロジェクトは途中で企業が撤退するなど、何度か仕様変更が行われている。「次世代スパコン」プロジェクトと言われながら、アーキテクチャにも先進性が見いだされなかった。使い難さなども指摘されており、要は「最速である」ことが目的のようなプロジェクトだった。だから「2位ではダメなんですか?」と言われてしまったのだ。それで予算が削減されても一時は世界最速となったので、だったら当初の計画は何だったのだろうかと改めて思ったのを記憶している。
今回の「富岳」は「京」の100倍の性能ということで「富岳100京」ということか、と変なところで納得した、計算速度は415ペタFLOPS。それまで世界1位だったアメリカのSummitが200ペタFLOPSということで2倍以上の性能らしい。このSummitは、IBMとNVIDIAなどが共同開発したもので、発注額は3億2,500万ドル。これに対して「富岳」は富士通が製作したものでそのコストは官民合わせて約1,300億円という。かなりのお金を掛けて世界一を取り戻したことになる。
ただ、富岳は速度だけでなく、多様なユーザニーズに対応する柔軟性や使いやすさも考慮されているらしい。その点「京」の反省点が活かされているということだろう。 |