○…いくつかウェブセミナーに参加してみた。ウェブ取材もやってみたのだが、やはり感じたのは「情報が少ない」ということ。
人間というのは、直接対面して話をすることで、とても多くの情報を交わしているのだ、ということを改めて感じた。言語学の世界では常識ではあるけれども、ヒトは言葉を交わしているのではなく、感情や概念を言葉に乗せて交わしている訳だ
(学生時代に一時夢中になった、ラング、ランガージュ、パロールといったソシュールの記号論の世界の話が懐かしい)。
要はヒトのコミュニケーションは、言葉の表層だけではないということなのだが、ネットを通してしまうと、どうしても言葉の表層そのものに偏重してしまう。瞬間瞬間の相手の表情や語調からの情報がほぼ遮断されている。
ネットでのコミュニケーションに慣れていないと言うこともあるかも知れないが、実に不自由であり、若干のタイムラグもあったり、通信が不安定になったりということもあって、ウエブでのコミュニケーションはとても疲労感が高い。対面であれば1時間半も話しても大丈夫なものが、45分を過ぎると苦しくなってくる。そして、情報量への満足度も低い。
新型コロナが治まった後には、ヒトのコミュニケーションはウェブ中心へと変化していく、という主張もあるのだが、情報量への渇望がこれほど大きいと、どうしても信じられない。ウェブはオルタナティなコミュニケーション手段であり続けるだろう。もっとも5Gが一般的になると替わるかもしれないが、リアルに勝るコミュニケーションは当面、実現しないのではないだろうか。 |