○…エンジニアリング会社が電力販売事業を手掛けることは、以前から事例がある。特にごみ焼却炉に発電設備が付けられる事が普通となってからは、その余剰電力の販売をサポートすることをスタート地点とし、再生可能エネルギーなどを含めて、電力小売り事業を拡大しているJFEエンジニアリングのアーバンエナジーような展開がある。これはアグリゲート系のビジネスといえる。
その一方、オンサイトエネルギー供給が原点となっている部分もある。顧客のエネルギー施設の構築だけの売り切りビジネスから、顧客との契約はエネルギー供給契約で、設備はエンジニアリング会社側が現地に建設して一定期間供給を行うというもの。エネルギーサービスプロバイダー(ESP)系のビジネスであり、多くの企業が手掛けている。通常は国内外の工場に必要な電力と蒸気を供給するものだが、下水汚泥処理と発電を組み合わせて事業契約を交わす、月島機械のような特徴あるビジネスもある。都市再開発などでのコージェネレーションシステムもESP系のビジネスだが、これは工場と違って熱と電力のデマンドの変化が大きい。そのコントロールは工場相手よりもはるかに細かい調整が必要となる。それが最近では殆ど自動で予測、制御できるようになってきている。しかも都市部であるためエネルギー施設に与えられるスペースはごく限られていて、EPCとしてもきわめてきめ細かい対応が必要だ。規模は小さいが、その細かさには感服してしまう。
最近、電力事業を展開したいというエンジニアリング会社も増えてきている。工事リスクが大きくなっているなかで安定収益が見込め、EPCでの経験もある電力分野は魅力的に見えるというのはわかる。ただ現実的には国内の新電力はあまり業績は良くない。制度もどんどん変わっていくので、将来展望も捉えにくい。一部では電力小売事業を見直す動きも出ている。
おそらく、電力小売がエンジニアリング会社にとって収益源となるには、きめ細かい事業設計とプレミアムな電力メニューの構築が必要となるのではないだろうか。 |