○…日本と韓国、隣国同士の「いさかい」がなかなか沈静化しない。このまま進むと日本にとって経済的にも、文化的にも不幸な結果しか招かないと思われるが、そんなことには考慮せず公共の場で「嫌韓論」を繰り広げる人がいる。テレビのワイドショーである。日本のコメンテーターを始め、日本の番組作りは、韓国に対して、上から目線であるとしか思えない。
「他国に対する偏見・差別や憎悪をあおって数字(視聴率)を上げる。公共の放送が決してやってはならない禁じ手だ」とする意見もあるが、テレビのワイドショーの劣化は止まらない。中でもひどかったのは、某大学教授と称する人の「暴行を煽る」ヘイトクライム発言だ。
2019年4月版のIMFによる「WORLD ECONOMIC OUTLOOK DATABASES」から、2018年の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキングを見ると、日本は世界第26位で、韓国は第28位と肉薄している。日本はランキングを転落中で、一方韓国は上昇中である。順位の交代は間近なのは間違いないと思われる。経済だけでなく、学術的発信力や教育レベルでも韓国の後塵を拝しているという。「市民の政治的成熟度においても日韓にはすでに乗り越えがたい差がある」と言わざるを得ない。その原因の一端を担っているのが、今の報道の現状とするのは思い過ごしか。
○…台風19号によって、各地で水害が発生した。これはダムの治水機能の限界を示したものであり、日本の洪水対策を根本から考え直さなければならない事態となった。「ダムありき」ではもうダメだ。
知人のダムジャーナリストによると、千曲川穂保は、急に川幅が狭まる手前のところで、以前から氾濫の危険性が指摘されており、地域住民も川幅の拡張をかねてから要望していた。しかし行政は浅川ダム建設によって洪水対策とした。しかも新幹線の車両基地を誘致したことで浸水の際の浸水深が深くなるので、長年計画されていた浅川ダムを建設しなければならないとして、実行した。しかし今回、浅川ダムは氾濫を防ぐことが出来ず、建設の理由とされた車両基地も浸水した。
昨年発生したダムの緊急放流に伴う河川氾濫は、限界を超えたダムが凶器になるという事を示した。これを受けて大雨の際には事前にダム貯水量を下げる水位調整を行う、という指針が出されたが、今回緊急放流を行ったどのダムも事前の水位調整は行っておらず、教訓は活かされなかった。
温暖化の進行で、雨の降り方は昔と異なる。平野部でも豪雨で河川氾濫することが増えている。上流で水を堰き止めることよりも、如何に排水機能を高めるか、がこれからの対策の中心としていく必要がある。その転換を促した台風だった。
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