○…8月下旬に富士山で落石事故があり、石に当たってロシア国籍の二十代女性が死亡したとのニュースが流れた。富士山では、1980年8月に大規模な落石が発生し、12人が死亡、30数人が重軽傷を負った事故があったという。山の遭難事故では、雪崩によるもの、滑落事故、天候不順によるものなどがよく報道されるが、実は落石事故も怖い。
今回の事故を受けてある登山家が「富士山を登る人は、登山に慣れていない観光客が多い。まず、自分自身が登りと下りで落石をしないことが大切だ」と指摘したそうである。もしかすると「自分自身が」ということが分らない方もおられるかもしれない。
この言葉、自分では思い当たる節がある。富士山ではないが、八ヶ岳連峰、北アルプス、南アルプスなど急峻な登山道のガレ場(岩壁や沢が崩壊して大小さまざまな岩や石がゴロゴロ散乱している斜面)が多いところを何度か登った経験がある。
そのような場所を登るとき、あるいは降るときに必ず注意しなければならないのは、自分が落石の発生原因にならないようにすることだ。もし、足を岩の上にのせて落してしまったら、大声で「ラーク」と叫ぶように指導された。登山道を滑り、ザザッと落石に近いものを発生させた経験がある。登山も楽ではない。
○…海洋プラスチック汚染の対策として、ストローやレジ袋の削減が進められている。使い捨てプラスチックを使わないことで、廃プラスチックのボリュームを減らそう、と言う考えは解かる。だが、これはやはり問題が矮小化されていると思える。
実のところ、プラスチックの使い捨てストローは、海洋に流出するプラスチック全体のわずか0.02%に過ぎず、紙巻きタバコのフィルターの方が遙かに問題だ、という指摘がある。フィルターの流出量はストローの約100倍であり、しかもタバコのフィルターには多くの有害物質が含まれている。しかも自然分解するには10年以上の時間が必要ということだ。タバコのポイ捨ては、環境を悪化させる大きな要因となっている、ということだ。
ところで、考えてみるとタバコのフィルターがストローの100倍だとしても、ごみ全体の2%に過ぎない。では残りは何か。レジ袋なのか?。ウミガメが餌のクラゲと勘違いしてレジ袋を食べてしまう、という話が良く聞かれる。またペットボトルの漂着なども映像としてよく流される。
実際に、オランダのNGOが調べたところ、最も多いプラスチックごみは魚網で、全体の約半分を占めたという。レジ袋やペットボトル、タバコよりも、釣り糸を含めた漁業資材の環境影響は極めて大きい。ここを何とかしないといけないのだが…。 |