○…「休眠打破」という言葉があるが、うかつにも私は詳しくは知らなかった。眠気覚ましに飲むドリンク剤「眠眠打破」は知っていたが、それとは関係がない。
休眠打破とは、「休眠状態にある種子・冬芽・球根などが、ある特定の刺激を受けたのち、活動状態になること。サクラの開花には、冬期に一定期間低温にさらされる必要があることが知られる」と書かれている。桜は夏に翌春咲く花芽を形成する。いったん休眠に入った花芽が、冬季に一定期間低温にさらされ休眠から覚めること。その後の気温上昇と共に花芽は成長して開花に至る。冬暖かすぎると春先の気温が高くても開花が遅れることがあるらしい。
「寒さに耐えてこそ、綺麗な花を咲かせることができる」というのである。
つまり、生ぬるい環境にいただけでは桜は咲かないということ。厳しい環境が、桜の目を覚ますことへの衝撃となるそうである。まあ、人間でいえば、「より深く苦境に落ち込んだ人は、同じレベルまで戻っても、そこそこの線にとどまっていた人よりも早く気づき、早く花が咲く」と解説する人もいる。
"さまざまのこと思い出す桜かな"という有名な句がある。何の変哲もない句のように思えるが、芭蕉作と聞くと何やら名句と思えてくる。
○…「台湾は親日」と言う言葉をネットなどで良く見かける。最近では、ネット上で「台湾は日本の生命線」とまで言っている人もいるらしい。どんどん表現が大仰になっている。しかし、プラント輸出に長年ウォッチしていると「台湾は親日」などという表現をそのまま素直に受け入れることは無い。
皆、まだ覚えているはずだ。戦後長らく、台湾の政府・自治体、および政府系企業は、日本企業をプライムコントラクターには決してしなかった。国民の感情を刺激したくなかったからだ。要するに台湾には反日感情が長く、根強く残っていたのだ。実際、台湾で初めて行なわれたごみ焼却炉商談では日本企業は全て弾かれ、地元企業にのみ発注された。また台湾原発も日本ではなくGEがプライムコントラクターとなったので、日本からも機器輸出が出来た。
その後、焼却炉や高速鉄道などで日本企業が採用されるようになり、かつてのような反日感情も表に出ることは無くなった。大きな震災を受ける度、台湾からは暖かい支援が寄せられる。
だが最近では、台湾の「親日」を曲解し、現地で横柄な態度を取る日本人観光客が増えているという話も聞く。確実にあった反日感情に思いを巡らすこともなく、軽々しく「親日」というのではなく、まずは感謝と尊敬をもって接するべきだ。 |