○…「眼には眼を」というだいぶ古いフランス映画がある。舞台はシリアの砂漠で50年以上前の映画である。そのラストシーンに、衝撃というか絶望感を覚えたのを今でも鮮明に記憶している。
別に、ここでその映画の鑑賞を薦めている訳ではない。あるところでその映画を鑑賞するにあたり、案内文を書く必要に迫られた。
その過程で、「目には目を、歯には歯を」と楔形文字で記述される「ハンムラビ法典」にたどり着いた。その内容は、てっきり復讐を奨励しているに違いないと決めつけていた。日本でいえば「仇討ち」である。「やられたらやりかえせ」かと思っていた。
ところが、「ハンムラビ法典の趣旨は犯罪に対して厳罰を加えることを主目的にしてはいない。財産の保障なども含まれており、奴隷階級であっても一定の権利を認め、条件によっては奴隷解放を認める条文が存在し、女性の権利(女性の側から離婚する権利や夫と死別した寡婦を擁護する条文)が含まれている」という。
結果的に、「これらの条文は男女平等や人権擁護と同類の指向を持つ条文」だという。約3千8百年前の古代バビロニアでこういう法律が存在したことに驚く。もしかすると、一部の現代人より先進的かも…。
○…以前から名前はもちろん知っていたが、今まで実際に見ることはほとんどなかったが、ふとした切っ掛けで映像を見てみたら驚いた。想像していたものを遙かに上回っていた。
「ベビーメタル」である。ヘビーメタルとアイドルの組み合わせ、と言うことでなんとなくメタル系の伴奏をバックに、アイドルがユニゾンで歌っているのだろうと思っていた。全世界にファンが多いというのも、その組み合わせが珍しいからだろうと考えていた。
だけど、インターネットでライブの映像を見てみたら、たちまち虜になってしまった。魅力的なのだ。だが一体このグループの何が魅力なのか、自分でも最初は理解できなかった。しばらく映像を見続けていて解ったことは、まずバンドの技術が非常に高い。その高い技術に支えられた安定した演奏の上に、ボーカルの少女の実に澄んだ声が乗ってくる。その声質とメタルサウンドとの微妙なアンバランスさが、大きな魅力だ。その上さらに、アイドル的要素を組み合わせている。この3つの要素が、他にない新しいサウンドとして脳みそに心地よい刺激を与えてくれる。そしてステージの完成度も実に高い。あまりに今更なので恥ずかしい限りだが、凄いものを見た。 |