○…桑田圭祐が1995年につくった「奇跡の地球(ほし)」という曲がある。限定販売ではあるがエイズキャンペーンソングである。曲のテーマでもあるエイズ、戦争、感染症などをイメージさせる言葉が随所に使われている。地球46億年の歴史のなかで、現生人類が登場したのはわずか約4万年前。ある意味、誕生は偶然だ。そして文明が興ったのは約5千年前。現生人類が生息する地球が誕生したのは「奇跡」であり、壊れつつある地球なかで一瞬のヒラメキにしか過ぎない生命の貴さをうたっている。
その「奇跡の地球」が、さらにおかしくなっている。日本各地で過去最高気温を更新するなど記録的な猛暑となっているが、世界中で異常気象が報告されている。欧州一帯は高温で乾燥した気候が続き、北欧の北極圏内でも32℃を超える気温が観測されている。スウェーデンでも過去最悪の山火事が発生し、政府がイタリアなどに支援を要請している。ギリシャでは40度を超える熱波に見舞われており大規模な森林火災が発生して多くの人命が失われた。世界気象機関は一連の異常気象が「温暖化ガスの増加による長期的な地球温暖化の傾向と関係している」と分析した。
いま、豪雨などの異常気象も含め、わが「奇跡のほし」は前例のない事態に陥っているのかも知れない。いろいろな分野でエンジニアリングの出番かも…。
○…「クールジャパン」がちっともクールではなかった。断わっておくと、酷暑の話では無い。
国家予算を投じて、日本のカッコよさを売りこもう、というもので、これまで586億円の税金を投入し、マンガやアニメ、食や民族文化の輸出を支援するプロジェクトを幾つも手掛けてきた。しかし最近判明したのは、それらのプロジェクトが殆ど、赤字となり「死屍累々」とまで表現されている。
クアラルンプールでは、約10億円を投じて「ISETAN The Japan Store」を設置した。売り場総面積1万uという規模の商業施設だが、客が殆ど居らず、閑古鳥が鳴いている。しかも売っている日本の果物はブドウが2万円、桃が一万円と高価でとても買えない。全てがこの調子で日本のアクセサリーなども高価。仏像も売っているというが、確かイスラム国家だったはず。日本のマンガやアニメ等が置いてあると思いきや、ディズニーやスターウォーズだったりして、何のための施設かわからなくなっている。
戦前にも「躍進日本」という動きがあり、建国体操」なるものを披露し、海外に向けて発信したらしい。
こうしたクールジャパンや「日本スゴイ!」系番組にも垣間見える、自身の姿を客観的に見られず自画自賛を繰り返す日本の特質を「自画自賛病」と名付けた人がいて、妙に納得したのである。 |