○…野球にそれほど興味のない私の周辺の人たちも、メジャーリーグのロサンゼルス・エンゼルスに移籍した大谷翔平選手の活躍を話題にする人が特段に増えているような気がする。今後、大谷の二刀流の成績がどうあろうと、伝えられる彼の人柄の良さがファンの間で話題になり続けるのではなかろうか。そして修正能力の高さで、投打にそれなりの成績を残すのではないかと思う。
このところ世の中、「証人喚問」、「文書偽造」そして「文書廃棄」などの四文字が飛び交い、何ともやりきれない状況が続いてきた中で、大谷の大活躍は心おきなく聞ける唯一のニュースであった。そして、最近は政治の世界以外でも「危機管理」が問われる事態が起こった。
大谷の「修正能力」への評価は高い。日本時間5月26日、敵地ヤンキース戦にスタメン出場し、1-2と1点を追う8回2死一塁、大谷が打席に向かうと、ヤンキースは剛腕で知られる左腕チャップマンを投入してきた。全5球がストレート勝負。大谷はカウント2-2から5球目の101.9マイル(約164キロ)速球で遊ゴロに打ち取られたが、ダグアウトに戻る時は野球少年のような笑顔を浮かべていたという。マウンド上では160キロ超の球を投げる大谷だが、打席で100マイル超体験は初めてなのだ。彼は「危機対応」にも優れているはずだ。今後に期待したい。
○…知人のジャーナリストが最近、中国に取材旅行に行ってきた。彼がそこで見たのは、日本を凌ぐ、新しいビジネス環境だったようで、その状況を熱っぽく語ってくれた。
日本でも既に紹介されているように、中国ではキャッシュレス社会が特に進んでいる。ほとんどすべてのものがアリペイやウィチャットでの決済が可能となっている。物乞いでさえ、QRコードを差し出し、キャッシュレスでお金を要求する。タクシーは呼び出しから支払いまですべてスマートフォンで利用できる。
日本では今のところ、自治体でしかやっていない自転車のレンタルを、民間が行政区にとらわれない広域で、しかもさらに使いやすいサービスを提供している。
自分も先日、中国製の「スマートブレスレット」をネットで買った。日本製なら1万円以上もするものが、2,000円代から買えるだけでなく、日本製にはほとんど搭載されていない、血圧測定や睡眠時間やその深さを示す機能までついている。もとより正確性は期待してはいないが、それほど大きく乖離しているわけでもない。こうした製品が生まれて来ているのも中国という社会の柔軟性を示しているように思える。
一方で日本経済は今や、全体を覆う硬直性が、新たな事業の芽を育ちにくくさせているように思う。 |