○…「お役人は基本的には失敗を認めない」という言葉を何度も耳にしている。また、一度立ち上げた事業は何があっても進めるとも?
先月末に衆参予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却の決裁文書を財務省が改ざんした問題を巡り、前国税庁長官佐川宣寿氏の証人喚問を聴いてみて、相変らず失敗を認めない体質は変わっていないことを再認識した。「惜しい!」。今回こそ失敗を認めるいい機会だと思ったのに。
民間企業だったら、ここはもう改ざんしたことと、なぜそうしたか認めるしかあるまいと思われる状況証拠がそろっている。当時の理財局長だった佐川氏は、政治家や首相官邸の関与はすらすらと否定したものの、自身の改ざんへの関与についてはかたくなに証言を拒んだ。財務省によると、改ざんは佐川氏の国会答弁との整合性を図るため、昨年2月下旬〜4月にかけて行われたとされる。しかし、証人喚問で「(当時の)私の答弁は正しかったと考えている」と述べた佐川氏。では、なぜ改ざんされたのかを問われると、やはり「刑事訴追の恐れ」を理由に答えなかった。
それで省庁の面子が保てると思っている。でも、そのせいで「失敗から学習する」という進歩と修正のための唯一つの道筋を自ら塞いでしまったのだ。
○…先日、韓国の中央日報に「日本酒のプライド「越乃寒梅」」と題する記事が載っていた。タイトルを見ただけで、何故、日本にあまたある素晴らしい酒を差し置いて、この酒が取り上げられたのか?と複雑な気持ちになった。
越乃寒梅はかつて銘酒として全国に名を轟かせた。その名前を聞いただけで喜んでいた人もいた。しかし現実に手に入る越乃寒梅は、需要の多さに応えるため、他の酒蔵から桶ごと酒を買ってきて、調味料と醸造用アルコールを使って自分の銘柄の味に似せる、いわゆる「桶買い」をしていることは多くの人が知っている。ちなみに、越乃寒梅が桶買いしている先には、「八海山」もあるという。ただ調味料がお酒本来の香りや味わいを失わせ、口の中に甘ったるい後味を残す。
桶買いをしていない、本来の越乃寒梅はたいそう旨いのだろうが、入手は困難ということで、これまで実際に味わったことはないが、調味料入りの越乃寒梅しか知らないので、買い求めようとは思わない。
日本酒好きから言わせれば、「日本酒の誇り」とは最低でも桶買いをしないことだと思う。だから、純粋に日本酒を味わおうと思えば米と麹、水だけで作った純米酒が正解だ。「純米は甘い」という人もいるが、味は銘柄や年によって千差万別。とても一言で括れるものではない。 |