○…年末になるとその年の世相を反映した「ことば」が話題になる。その一つが現代用語の基礎知識が選ぶ「ユーキャン新語・流行語大賞」だ。毎年12月1日に発表されるので、この号が皆さまの手元につくころには大賞が明らかになっているはずだ。すでに11月上旬に発表された30語の候補の中から選ばれる。候補は「例年に比べると、嗜虐性、負の言葉が多い」という印象が強いという意見もあった。多分、候補の中に「ちがうだろー」とか、「魔の2回生」、「忖度」という言葉があったことを踏まえての意見だろう。因みに、昨年の大賞は「神ってる」と前向きな言葉だったが、今年は果たしていかに…。
そしてもう一つの言葉に関する話題が、「今年の漢字」である。日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字一字の公募を日本全国より行い、その中で最も応募数の多かった漢字一字を、その年の世相を表す漢字として、「漢字の日」に清水寺で発表することになっている。一般公募は11月1日〜12月5日までだが、昨年は15万3千票余りの応募があり、6,655票を集めた「金」が1位となった。リオ五輪で獲得した金メダル、政治と金などの話題から選ばれたようだ。今年は「北」とか、「戦」、「核」とかが選ばれてもおかしくないが、せめて前向きに新記録などの「新」が選ばれて欲しいものだ。
○…地方での取材の際「ところで東京ではプレミアムフライデーは定着しているんですか?」と唐突に質問された。おそらく、プレミアムフライデーの地方における実感のなさと、テレビの宣伝のボリュームとの差に違和感を感じておられたのだろう。
プレミアムフライデーは政府主導で進められているが、その宣伝とは裏腹に、都内ですらさほど定着感はない。そもそも「月末の金曜日なんて忙しい時に早く帰れと言われたって、そうですか、と帰れる訳がない」というのがホンネだ。
そこで政府としては「プレミアムフライデーは月末でなくともよい」とか言い出している。最初からもう少し頭を使え、と言いたい。
しかも、現状は非正規雇用が拡大しているのだから、「早く帰れ」というのは「給料減らすぞ」というのと同じ話なので、誠に無責任でもある。さらに言えば、「働き方改革」という話が同時進行しており、プレミアムフライデーとの整合性が取れていない。また、最近では「テレワーク」がはやりとなっているが、これも多様な働き方、というよりもオリンピックでの公共交通機関の混雑緩和策の一環として生まれたもので、テレワークでの生産性向上や給与体系のありかたといった細かい話はトンと聞かない。これら「働き方改革」は耳に聞こえは良いが、中身はどれも軽々しい。 |