○…「忖度」という言葉が世間をにぎわしている。今年の「流行語大賞」候補に間違いなしとも聞いた。つい最近までは、この言葉を使う、正確な意味を知っている方は少なかったのではなかろうか。かくいう私も、おぼろげながらの意味は理解していたつもりだったが、正確な意味、使い方までは知らなかった。そこで調べてみた。
そもそもこの「忖度」、まあまあ難読な言葉だと思うが、もしかしたら、若者たちは「スンド」、「ソンド」、「フド」などと読んでしまうのでは? 肝心の意味であるが、他人の心の中や考えなどを推し量るということだ。「忖」も「度」もはかるという意味であるという。
「忖」は、心と寸からなり、「度」はものさし。つまり、推し量ることはあっても、それによって何か配慮をするというニュアンスはない。いわば、「空気を読む」などに類似すると思われる。そう、マイナスイメージは全くない言葉なのだ。
似ているようだが、「斟酌」とはその意味がだいぶ違うようだ。斟酌は相手の気持ちを推し量って行動するイメージだ。「忖度」には、他人の心を推し量るという意味だけで、そうした上で何か配慮をするという意味はない。ところが、今使われている「忖度」は、本来なかったそうした意味が付け加わってしまっているのでは?
○…フィギュアスケートの浅田真央さんが引退を決めた。今シーズンの成績からして、そろそろかも?とは何となく思っていたが、やはりハッキリと引退を表明されると、何だか一つの時代が終わったような寂しさがある。
浅田真央さんの演技で、誰しもが記憶に残っているのはソチオリンピックでのフリーの演技だろう。「一体どうしたのか?」と本人を含めて誰もが訝ったショートプログラムの演技で順位は低位に留まってしまい、表彰台は絶望的となっていた中でのフリーの演技は、それまで見たこともないような素晴らしい出来栄えで、自己最高得点を獲得した。どん底からの復活に対して、誰しもが称賛を惜しまなかった。まさに金メダル以上の演技だったと思う。
振り返ると、その前のバンクーバーでの演技は銀メダルであったものの、本人も今一つ納得のいかない様子だった。その後、基本に立ち返ってスケーティングそのものを磨いて、綺麗なスケーティングをソチで見せてくれたのだ。
フィギュアとは「図形」の意であり、昔は「コンパルソリ」という演技があったのを覚えている方も多いだろう。まさに氷に図形を正確に描く競技だ。
フィギュアは今、大技に注目が集まっているが、やはり基本のスケーティングが正確だと美しいも。浅田真央さんはそうした、基本の美しさを再認識させてくれたと思う。
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