○…先月24日、1875年に観測が始まって以来初めて、東京の都心で11月の積雪が記録された。1875年といえば明治8年である。日本に元老院が設置される1カ月前の同6月に東京気象台が開設されている。
この間、約140年ものあいだ都心への積雪は無かったのだ。気象台開設前のデータは明らかではないが、11月の積雪は東京が江戸と呼ばれていた時代のいずれか以来のことであったのかも知れない。それほど、先日の都心での降雪はめずらしいものであったらしい。
今回のことが、異常気象のせいかどうかは知らない。ただ、気のせいか我々の子供のときと違って、暑さ寒さが極端になってきたような気がしてならない。
そういえば、気象のみではなく世界の政治もこのところ激変している。民族主義、差別主義が世界を席巻してきたような気がしてならない。米国第一主義を唱える次期大統領についで、フランスでも極右政権発足が危惧されているという。そうなるとEUは崩壊するといわれている。
そして、自然現象である気候と同じように中国、ロシアからの影響を、政治の世界でもわが国は今後まともに受けるかも知れない。
もしかしたら、この冬将軍は中国、ロシアからの警告なのだろうか……。
○…トランプ大統領となることが決まった時点で、TPPはもはや死に体となった。そもそもTPPは開かれた交渉の場では無く、秘密も多い。産業界は歓迎しているが、輸入圧力によって国内の農林水産業が大きな打撃を受けることは間違いないので、国のベースが壊れるという懸念を拭えないのはその秘密主義故だ。
TPPは、市場競争をセントラルドグマとする新自由主義という宗教に犯された人々の身勝手な枠組みとも言える。保護的な政策下で無ければ生きていけない人達までを国際競争に晒し、生活の場を奪って行く可能性すらある。それでなくとも、新自由主義という実験は何の成果も出せないまま、既にその役割を終えつつあるのだ。
トランプ大統領の出現は、保護主義の復活と、新自由主義の終焉を端的に表現しているものだ。新自由主義への危機感を持ち得なかったことが「大番狂わせ」の結果を招いた。
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