○…音痴もかえりみず地元のコーラスグループに所属している。コーラスグループといっても皆で好きな曲を勝手に選んで歌っている。発足後10年間、外部で歌った経験はない。ところが、ここにきて地元社会福祉協議会主催の敬老会で歌わざるを得ない羽目になった。司会を任されたので、歌う曲の成り立ち、背景などを調べた。結局、持ち時間がなかったので聴衆には披露しなかった。
そのうちの一つが有名な「埴生の宿」である。映画「ビルマの竪琴」などにも登場する歌としてよく知られている。イングランド民謡ではあるが、日本でも古くから謳われてきたようだ。調べてみると、邦訳した「里見義(ただし)」は何と、幕末の福岡藩士であったらしい。明治時代になって文部省に音楽取調掛として採用されて作詞したという。明治22年の中等唱歌集に収載されている。
ところが、驚くことに原題「Home! Sweet Home!」が本邦で初演されたのは黒船の来航時だったらしい。嘉永7年(1854)年、日米和親条約が締結されると、その批准のため、ペリー提督は参謀長に軍艦2隻を率いて本国へ先発させた。その送別の際に演奏されたのがこの『埴生の宿』だったという。イングランド民謡ではあるが原曲は米国人が作詞している。故郷を思う気持ちはいずこも変らない。
○…「世界に誇る事故」という言葉が某SNSサイトで回ってきたので驚いた。博多駅前の陥没事故に関する話である。
件の言葉は、陥没事故で怪我人も出なかった事に対する自画自賛として呟かれたものだ。事故を受けて「日本も中国並み」という発言に対するものだが、いくらなんでも酷すぎる。
確かに今回、陥没が起きる前の予兆で、道路封鎖などを行ったことで怪我人はゼロであった。しかし問題はこれが同工事で3回目の陥没事故の発生であるということ。怪我人をゼロに抑えたのは、奇跡でも危機管理が出来ていたからでもなく、単に陥没事故が頻発していたため、対応に慣れてしまっていた、という事の方が考えやすい。そしてこれは大きな問題であることを失念している。
そもそも工事でこのような大きな事故が起きてはいけないというのが前提にないのが困る。しかも3回目ともなれば、工事管理がどうなっているのか、と厳しく批判されてしかるべきだ。
どんな工事でも、無災害をまず目指すべきものであり、いくら大事故で怪我人がゼロであったとしても、繰り返し陥没事故を起こしている案件に対して「世界に誇る」という感覚がでてくることは、認識として完全に狂っているとしか言いようがない。
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