○…実は、わが社のすぐ近くに「日活」本社がある。日活映画といえば石原裕次郎に代表される青春映画が思い出される。そして「日活ロマンポルノ」である。その日活が有楽町の一等地からわが社近くの文京区本郷に本社移転してきたときは驚いた。斜陽産業ここに極まわれりか、と感じたものである。その日活ロマンポルノが今年秋に復活するという。
「芸術的ポルノ」を標榜していた「ロマンポルノ」が衰退した原因は、より過激なアダルトビデオなどの普及によるものだろうと想像する。しかし、第一弾「団地妻昼下りの情事」(西村昭五郎監督、白川和子主演)は衝撃的であった。その第一弾に始まる日活ロマンポルノは、多くの名監督、俳優を輩出した。監督で言えば、「ポルノ、ピンク出身の巨匠」であり、先駆的存在である神代辰巳をはじめ、田中登、曽根中生、相米慎二、根岸吉太郎がいる。俳優では宮下順子、伊佐山ひろ子、蟹江敬三、風間杜夫らを輩出している。
その「日活ロマンポルノ」が今年秋、28年振りに5作品を出す。AVがあふれかえる時代に、あえて5監督が新作を順次公開するそうである。いずれの監督も「ロマンポルノ」初挑戦であるという。新たな視点でのロマンポルノ作品に期待する。新たな俳優も育つかもしれない。
○…先日の台風で西武多摩湖線が脱線した。怪我人が居なかったのが不幸中の幸いであるが、暫くは不通状態が続いた。東村山市の出身であるので、電車が脱線したあたりの事も良く知っている。ちょうど、多摩湖畔の公園と住宅地の境界を走る線路であり、特に脱線した部分は丘陵を拓いた谷間部分を通っている。夏場にそこは、線路両側の法面が草に覆われる。事故時の写真を見ても、一面の緑に覆われたように見えており、東京であるにも関わらず、深い山あいを走っているように見える。
実際、脱線事故の写真を見て、台湾などでは「何と美しい場所だ」「是非、行ってみたい」とSNSで評判になったという。これに対して東村山市長は「結構大変なんですけどね」と当事者の苦悩を見せた。実際、沿線住民はしばらく足を奪われ、動いてる駅まで毎朝、自転車を使うなど苦労されたようで、臨時の駐輪場も必要になったという。確かにそれどころでは無かっただろう。ただそこは、単純に故郷の美しさが称えられたと思いたい。
既に路線は復旧していることもあり、今後海外からの観光客も来るかもしれない。ただ、多摩湖線であのような美しい風景を走るのは、ほんの一瞬だけなのだ。遠くから来る人はさぞかしガッカリすることだろう、と心配している。
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