EnB 12号 目次
詳細 のマークがついているものは記事の内容がご覧になれます。

 

■EYE詳細へ
組織が剥ぎ取る現場の倫理

■REPORT
縮小する!?米原発市場

■GLOBAL Business
・Technip、BPからHummingbird技術を買収
・SaipemとVeolia、Subsea水処理技術で提携
・現代建設、製油所建設でイラクと支払交渉
…インド、政府資金の発電所で国内調達ルール
…GE Oil&GasとTechnip、LNG用ソリューション
…GE、GTCC効率向上ソリューション導入
…Honeywell UOP、新触媒生産設備をオープン

■TOPICS
停滞続くエネルギー案件

ENAA、第36回功労者賞を決定

■Projects News
…EPP、Delawareで第3ガスプラントを計画
…アルバータ州でメタノールプラント
…Shell、Appalachia石化PJでFID
…Bapco、Sitra製油所拡張計画で入札へ
…AFW、イラクRumaila油田でFEED業務
…AFW、インドでLNG受け入れ基地受注
…Aramco、東西パイプラインを増強へ
…BASF等、上海で塗料プラント
…BASF、FreeportのMTOプラントを棚上げ
…Bechtel、ガボンで25億ドルのインフラ計画実施へ
…Wison、Borouge3エチレンを受注
…KBR、超低硫黄ガソリンプロジェクトを受注
…Cronus Chemicals、肥料プラント建設遅れ
…Dominion、1,588MW発電所に着工
…Gazprom、ロシア東部の開発を推進
…GE、トルコで発電設備のレトロフィット受注
…GE、パキスタン火力発電向けソリューション受注
…Borealis、中東で新規投資を検討
…Jacobs、サウジアラビアでGES受注
…KBR、リベリアで製油所FS受注
…Lotte/Axial、米エタンクラッカーに着工
…Tecnimont、ロシアで建設契約
…オマ−ン、10月に5つの石油鉱区で入札へ
…Sasol、ルイジアナLCCPプロジェクトがコスト増
…ShellとGazprom、Baltic LNGでMOU

■NEWS Flash
・MHPS〜CTCI等、台湾電力のボイラ環境設備改造工事受注
・Midrex、アルジェリアでDRプラント受注
・クボタ〜韓コロン、バングラデシュで上水道整備受注
・川崎重工、北海道電力のLNGタンク受注
・日本郵船がEPCIに参入-EMAS CHIYODAに出資
・経済産業省組織・主要人事
…日立製作所とAnsald、台湾で鉄道システム受注
…横河電機、バングラで監視制御システム受注
…Primetals、印製鉄所でプロセス最適化
…NSENGI、Air Water向けCOG脱硫設備を完成
…MHPS、J形ガスタービンで累計25万時間
…Hitz、由利本荘市で風力発電事業
…JFEエンジ、大手町でサイクルツリー

■Procurement
・三井造船、断水せずに水道管内を調査のロボット
・三浦工業、制御一新のガス焚き高圧貫流蒸気ボイラ
・TLV、制御パネル miniを新発売

■Environmental
・廿日市市のDBO事業、神鋼環境が落札
・立川市、第3回新清掃工場整備基本計画検討委を開催
・月島機械、宍道湖流域下水道の消化ガス発電事業契約

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 12号 表紙

 

EYE
●組織が剥ぎ取る現場の倫理

 三菱自動車の燃費データ改竄が示すものは、企業の倫理の問題だ。現場では燃費改善目標を達成すべく、意図的にデータを選んで燃費改善に成功したように取り繕った。また走行試験データの手法も法令で決めたものとは異なっていた。現場での倫理に問題があったことは確実であり、それを否定することはできない。
 技術者倫理についてPEは「公共の安全、衛星、および福利を最優先とする」ということを第一に記している。ポイントは「公共の」である。自社の利益のために、公共に反する行為はプロフェッショナルではないのだ。過去数度にわたりリコール隠しを行い、今回もまた燃費データ改竄という行為を行ってしまったことで、三菱自動車には技術者倫理を守るプロフェッショナリズムが無い、ということが明らかになった。
 だが、現場に倫理が無いというのは、現場だけの問題とは言えない。現場から倫理を剥ぎ取っていくような組織の在り方にも大きな責任がある。三菱自動車では、社内会議で決まった燃費性能目標の達成が「絶対」であり、それを達成できないと報告することが出来なかったという。目標達成のための時間が足りないことすら、上に報告できないあり様で、達成できずに新型車の発売が延期された際には担当者が諭旨免職されたこともあるという。
 意見が上に通らない状態が続くと、現場は委縮し、不都合な報告が上になされなくなり、上の意向を忖度して倫理違反を犯してしまう。上は、不都合な報告が上がってこないので、現場に問題はないと考え、より厳しい目標を現場に課してしまい、倫理違反への負の連鎖が発生する。これは東芝の粉飾決算と同じ構図である。利益を出せない部署に対して「3日のうちに何とかしろ」と言い放つことは、法を犯せと命令しているに等しいのである。そういう指示しかなされないのであれば、現場は上の考えを忖度して倫理に背く。そして上は気づかない。だが上に責任が無いわけではないのだ。倫理違反に向かう負の連鎖を断ち切る責任が、組織のトップにはある。

最新号目次へ

 

EDITORAL
●編集後記

○…「役立たず老人安楽死推進法」を、本当は成立させたいと願っているように思える某国副総理がいる。さる講演会において90歳の老人を話題にあげ「いつまで生きているつもりだ」と発言した報じられたのだ。しかし、彼は「自分には侮辱するつもりなどなかった」と反論した。ではどういうつもりでこんなことを言ったのか、わかりやすい説明はなかったが、どうやら彼は老人一般を非難したわけではなく、老人の中でも社会の役に立っていない者を批判したのだと言いたいようなのだ。例えば講演会で言及した老人にしても、90歳にもなってまだ老後のことを心配している。そんなことを心配するより、持っている金をどんどん使って、消費の拡大に貢献すべきだ。それなのに金を貯めこんで、まだ老後の心配をしている。そんな心配をしているひまがあったら、とっとと死んでもらいたい。そう言いたかったようなのだ。
 そういう論法を進めていくと、重度の身体障害者なども社会の役立たずとして彼の非難の対象になるのだろう。そうなるとナチスの「優生思想」が思い起こされる。なるほど、「ナチスの手口を学んだらどうか」と発言したことのある副総理だけのことはある。役立たず老人に限りなく近づいている者としては、もうこんな世に未練はない。冒頭の「……推進法」の成立を願うばかりだ。

○…舛添前都知事が辞任した後、都議会議員が必要性のよくわからないリオデジャネイロオリンピックに大勢の議員が視察に行くという計画を持っていたことが判明。あれだけ舛添前知事の無駄な出張費を議会で非難していた方に今度は批判が集まり、結局この視察旅行は中止となった。問題とならなければ、彼らは豪華出張を楽しんだに違いない。
 舛添氏の問題は法律違反ではなく、政治家倫理を問われるものであったが、そこで皆が疑問に思ったのは、何故ああいう行為が法律違反ではないのか、と言う事だ。国民に納税を義務付けておいて、使う側には何に使おうとお咎めがないという理不尽に、都民だけでなく全国民が怒ったのだ。
 都議会が豪華出張をするのも、舛添氏が湯河原に公用車で行くのも、その本質には何の変わりもない。所詮は同じ穴の狢。サラリーマンであれば、個人の旅行を経費で落とせる訳がないのだが、政治資金であれば、それは違法でも何でもない。バレた方が悪者になっているだけ。詳しく知るほどにシラけていく。
 舛添氏が都知事を辞任するほど悪いのなら、今回問題になったようなケースを「舛添スタンダード」として、全政治家の政治資金の使途をチェックし、さらには政治資金規正法や、役所の税金の使い方まで全てを改めて行くべきだ。

最新号目次へ

Copyright (C) 2002 ENGINEERING JOURNAL CO,.LTD. All Rights Reserved.