EnB 11号 目次
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専門家を評価しない日本

■REPORT
バイオマス発電は林業を再構築するか

■GLOBAL Business
・「米原発維持には優遇措置が必要」-NEI
・KBR、Wyle買収で正式契約
・Tecnimont、米Siluriaとガス化学プロセス開発
・Honeywell、インドで新精製術開発へ

■TOPICS
前川製作、海外プラント拡大へ

日立製作、プラント事業をIoT化-“Lumada”でソリューション拡大

METI、次世代火力発電技術ロードマップまとむ

■Projects News
…RosneftとPertamina、TubanのPJで協業
…AFW、Cilacap製油所のエンジサービス受注
…AFW、クウェートでFEED実施
…AFW、シンガポールでメチオニンプラント
…AFW、ロシアからスチームリフォーマー受注
…印L&T等、AramcoからHasbahガス拡張計画受注
…Lanxess、潤滑油添加剤を増強
…Technip、Saudi Kayanのエチレン分解炉受注
…モスクワ製油所近代化でNipigazが受注
…GE、パキスタンでデジタルパワーソリューション受注
…Honeywell、PetroVietnamにコンサルサービス
…IFCがエジプトCarbon Holdingsに融資
…Ineos、テキサスのLAO計画の規模を拡大
…Jacobs、インドの塗料プラント受注
…LyondellBasell、ボリビアにPPライセンス
…Petro Rabigh、ポリオール計画を見直し
…Sabicと神華寧夏、石炭化学プロジェクト推進
…Technip、Statoilからアンビリカル受注
…Technip、地中海のガス開発受注
…Subsea7、洋上風力を受注
…Takreer、産廃プラント建設
…Wood Group、StatoiとMSA契約
…Bechtel建設のLNGが稼働へ
…旭化成、LIB電池用セパレータで設備増強

■NEWS Flash
・インドネシアで電力事業2件推進
・東芝、欧州・中東最大規模の地熱発電受注
・日立製作所、50MWメガソーラー発電を受注
・富士古河E&C、海外事業・新領域事業を拡大へ
・新興プランテック、売上950億円達成へ新中計
・日立製作所、米にエネルギーソリューション拠点
…東芝、ベトナムの石炭火力向けSTG受注
…Plimetals、韓国アルミ熱延ロール冷却設備受注
…JXエネルギー、Petronas LNG9に出資
…丸紅、伊Enelとアジアの発電事業でMOU
…月島機械、北海道初の消化ガス発電事業を開始
…INPEXと三菱重工、エネルギー技術で協業へ
…JFEエンジ、品川でサイクルツリーを受注
…川崎重工、大江戸線新車両を受注
…荏原製作所、ベトナムにポンプ工場
…タクマ、エネルギー・資源学会賞受賞

■Procurement
・横河電機、海外で流量計の新シリーズ
・第一実業、バイナリー発電装置の販売総代理店契約
・メタウォーター、フロック監視システム

■Environmental
・環境省、廃棄物焼却施設余熱利用のモデル事業公募
・厚木愛甲組合、近く基本設計支援等の委託先決定
・東総地区広域組合、アドバイザーに八千代エンジ

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■エンジニアリングダイジェスト

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EnB 11号 表紙

 

EYE
●専門家を評価しない日本

 技術者倫理に関するお話しを伺う機会を得た。LAtTEng技術事務所の比屋根均教授の講義だ。同氏は「技術の営みの教養基礎 技術の知と倫理(理工図書)」という大学のエンジニア教育の教科書となる本を出版しておられるので、講義内容の詳細はそちらを見て頂くとして、講義のなかで特に気になったのが「日本では専門家の地位が低い」という指摘であった。
 その例として紹介されたのが、マスメディアでの扱い。「事故や不祥事が起きて科学技術が関係ありそうでも…マスメディアは技術者の責任を問わない…責任を問われないのは『人』として認められていないことを意味する(杉本泰治氏)」という言葉を講義のなかで引用されたのである。
 正直ドキっとした。末端とは言えマスメディアの仕事をしている人間として、そういう見方をしたことはこれまでなかったのだ。
 考えてみれば、企業が事故を起こした場合でも、現場の技術者がやり玉に挙げられることはあまりない。横浜のマンションにおける基礎杭のデータ偽装事件では当初、現場担当者の問題かと見られたが、担当者が正社員ではなく、現場を渡り歩く臨時雇用の技術者であることや、建築現場での構造的問題などから他でも一般的にデータ偽装が行われていたことなどから、結局は元請けと杭打ち工事の下請け、およびそれを2次下請けし実際に工事を行った会社の3つの会社が責任を問われる形となった。
 こうした不祥事や事故で現場の技術者が記者会見に出て謝罪することは殆どない。その会見を見る方も、それに対して違和感を感じることはまずない。それは日本の企業社会が基本的に上意下達式の強いヒエラルキーに支えられているためだ。要するに責任を取るのは上の人間(管理者)の仕事と捉えられているためだ。しかしプロフェッショナルとは自分の仕事に対して自分で責任を負うべきものとプロフェッショナル・エンジニアは教えている。責任を問われないままでは、その社会的評価が上がることはないが、それは日本社会の特質のようにも思えた。

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EDITORAL
●編集後記

○…米中が正面衝突のような対立を繰り広げている。問題は南シナ海における中国の動向である。アジア安全保障会議では、アメリカは中国に対し「国際法を順守して、一方的な行動」をやめるよう主張し、中国はアメリカに対し、「中国の主権を無視するような行動」はやめろと主張した。そのやりとりを見ていると、はた目には全く議論がかみ合っていないのだ。
 「アメリカが国際法を持ち出して中国をけん制するのは、世界はアメリカのためにあるというゆるぎない前提があるからだろうし、中国が自国の主権にかかわる事柄への干渉はやめろといってアメリカを批判するのは、東アジアは中国のためにあるという前提があるからだろう」という解説があった。こうなると議論がかみ合わないのは当然のことのようにも思える。
 だが考えてみれば、少なくとも議論の場があることだけでも少しは救われる。問答無用でミサイルを発射するよりはましだ。とはいえ、米中が互いに相手を理解しようとせず、罵り合っているばかりでは、いつ戦争が起っても不思議ではない。
 米中関係は我々の未来にとっても非常に重要な事柄である。お互いに覇権を主張しあうのはほどほどにして、さらに経済関係の進化を話合うことが地球の未来に役立つ。

○…一昔前は「水素エネルギー」について話しても、エンジニアリング業界はともかく、自分の周りにはすぐに理解してくれる人はあまり居なかった。そもそも水素というと、すぐにヒンデンブルグ号の事件を思い出して「危険でしょ?」というのが大方の反応であった。ヒンデンブルグ号の事故が、水素そのものよりも船体の外皮の塗料が放電により火災が起きやすい材料であったことが今では知られている。たとえ浮揚ガスがヘリウムであったとしてもあの事故は発生していた。しかし映像のインパクトもあって、水素ガスの危険性は実際よりもかなり誇張されて人々に植えつけられていたので、「水素はガソリンより安全ですよ」と言っても、ポカンとされるだけだった。
 それが今や水素を水に溶かして飲む時代になった。しかもご家庭で水素水を作る装置まで売られている。体内の活性酸素を還元してくれるという触れ込みで水素水を飲むのが、健康意識高い系の人に流行っているのだが、水素水の中には一つも特定保健用食品がない。その効果はまだ証明されていないのだ。しかも最近は水素吸引というサービスまで出てきている。ヘリウムでさえ吸引による死亡事故が出ているのに、幾らなんでも危険ではないか。
 それにしても危険性の認識が短期間でここまで変わることも珍しいように思う。

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