○…米中が正面衝突のような対立を繰り広げている。問題は南シナ海における中国の動向である。アジア安全保障会議では、アメリカは中国に対し「国際法を順守して、一方的な行動」をやめるよう主張し、中国はアメリカに対し、「中国の主権を無視するような行動」はやめろと主張した。そのやりとりを見ていると、はた目には全く議論がかみ合っていないのだ。
「アメリカが国際法を持ち出して中国をけん制するのは、世界はアメリカのためにあるというゆるぎない前提があるからだろうし、中国が自国の主権にかかわる事柄への干渉はやめろといってアメリカを批判するのは、東アジアは中国のためにあるという前提があるからだろう」という解説があった。こうなると議論がかみ合わないのは当然のことのようにも思える。
だが考えてみれば、少なくとも議論の場があることだけでも少しは救われる。問答無用でミサイルを発射するよりはましだ。とはいえ、米中が互いに相手を理解しようとせず、罵り合っているばかりでは、いつ戦争が起っても不思議ではない。
米中関係は我々の未来にとっても非常に重要な事柄である。お互いに覇権を主張しあうのはほどほどにして、さらに経済関係の進化を話合うことが地球の未来に役立つ。
○…一昔前は「水素エネルギー」について話しても、エンジニアリング業界はともかく、自分の周りにはすぐに理解してくれる人はあまり居なかった。そもそも水素というと、すぐにヒンデンブルグ号の事件を思い出して「危険でしょ?」というのが大方の反応であった。ヒンデンブルグ号の事故が、水素そのものよりも船体の外皮の塗料が放電により火災が起きやすい材料であったことが今では知られている。たとえ浮揚ガスがヘリウムであったとしてもあの事故は発生していた。しかし映像のインパクトもあって、水素ガスの危険性は実際よりもかなり誇張されて人々に植えつけられていたので、「水素はガソリンより安全ですよ」と言っても、ポカンとされるだけだった。
それが今や水素を水に溶かして飲む時代になった。しかもご家庭で水素水を作る装置まで売られている。体内の活性酸素を還元してくれるという触れ込みで水素水を飲むのが、健康意識高い系の人に流行っているのだが、水素水の中には一つも特定保健用食品がない。その効果はまだ証明されていないのだ。しかも最近は水素吸引というサービスまで出てきている。ヘリウムでさえ吸引による死亡事故が出ているのに、幾らなんでも危険ではないか。
それにしても危険性の認識が短期間でここまで変わることも珍しいように思う。
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