○…最近は、「逆鱗に触れる」という状況をあまり目にしないし、耳にすることもない。そもそも「逆鱗をおこす」主体は上司、目上の人に限られるはずだ。目下のものが逆鱗するというのは、用語の使い方としてあり得ない。部下が上司の逆鱗に触れて恐れおののく、な?んていう事態は、ごく希にしか起こらない時代になったようだ。
用語の由来を調べると、逆鱗(げきりん)とは、伝説上の「竜」の81枚の鱗(うろこ)のうち、あごの下に1枚だけ逆さに生えるとされる鱗のことをいう、とある。
「竜」は、元来人間に危害を与えることはないが、喉元の「逆鱗」に触れられることを非常に嫌うため、これに触られた場合には激昂し、触れた者を即座に殺すとされた。このため、「逆鱗」は触れてはならないものを表現する言葉となり、帝王(主君)の激怒を呼ぶような行為を指して、「逆鱗に嬰(ふ)れる」と比喩表現された。韓非子にあるこの故事をもとに、現代では、「逆鱗に触れる」として広く目上の人物の激怒を買う行為を指すようになり、また「逆鱗」が目上の人物の怒りそのものを指す言葉として用いられることもある。
となると、竜=上司は普段はおとなしく(背中にも乗せてくれる)、だが触れてならないことをすると激怒する。けれど部下はその境目が分らなくなっているのだろうか?
○…タブレットPCブームもそろそろピークを超えてきたようで、新製品発表の数が減ってきた。
タブレットは通常のパソコンに比べて立ち上がりが早い(というより立ちあがりっぱなし)ことや、ネットの閲覧や動画鑑賞、電子本の閲覧には最適で、写真も撮れる。観光地に行くと、カメラではなくタブレットで撮影している観光客も良く見かけるようになった。そうして撮影した写真をSNSにアップするのも簡単にできる。
しかし、良く考えて見ると、タブレットはそうした使い方しかない。基本は閲覧用のデバイスなのだ。しかもこれらの用途は全て、スマートフォンで出来るものばかり。平たくいうとタブレットは、電話の出来ない(インターネット通話は可能)、大きな画面のスマホであり、画面が大きくて見やすい、以上の事は無い。持ち歩きが便利なので仕事で使おうと考えやすいが、仕事で使うようにするには、色々なアプリをダウンロードしたり、別途キーボードを買ったりしなければならない。最近では、ノートパソコンをタブレット化したような製品が出てきており、仕事で使うならそっちを選んだほうがいいのだが、なにしろお値段が高い。「結局、タブレットってどう使えばいい?」という基本的な問題に対して、なかなか答えを見い出せないままだ。 |