○…今年もどうにか桜が満開。憤懣やるかたないことは相変わらず多いが、季節の移り変わりはかならずくる。桜の下、ほろ酔い気分で憂さをはらすほかあるまい。「さまざまなこと思い出す桜かな」
プロ野球での賭博行為が取りざたされ、先月には読売巨人軍の若い投手が記者会見。野球賭博には犯罪組織が背後にあり、追及はされなければならない。しかし、この会見は異様だった。この種会見の恒例である弁護士の同席もなければ、会見を取り仕切るものもいない。まるで、野球界の隠ぺい体質をひとりさらし者にすることで覆い隠そうという意図があるようにも思える会見だ。考えすぎであろうか。
犯罪といえば、ベルギーでのテロ事件が衝撃を持って報道されている。某アメリカ大統領候補はテロ国家には核の使用も辞さず、テロリストには「水拷問」が相応しいと言ったそうだ。一方でかのトーマス・ピケティは、「欧州社会におけるアラブ・イスラムに対する差別と偏見の強さ、その結果もたらされるアラブ・イスラムの絶望こそが彼らをテロに追いやる根源である」と言い、「イスラム嫌いの衝動を抑えよ」と指摘したそうだ。
同じ事柄でも「さまざまな」受け取り方がある。蛇足ながら、ごくありふれたような冒頭の句は芭蕉である。
○…「消費増税しなければアベノミクスは失敗したことになる」と自民は言ってたが、延期となる可能性が出てきた。1月の実質賃金も27カ月連続の減少となり、消費行動がさらに制約され、国内景気の原動力が失われつつあるようだ。
そんな折、盛山和夫 ・東京大学名誉教授の「社会保障が経済を強くする」と言う本を読み始めた。平易な文章で、とてもわかりやすい本である。盛山氏は冒頭でアベノミクスの問題点として二つを挙げている。第一に「規制・制度改革の明確な指標が無い」第二に「その規制・制度改革で持続可能な成長を実現できるのか」を指摘している。さらに、政府が考える「経済戦略」が1980年代のもので、現在では通用しないうえ、第少子高齢化の影響を小さく見ているとも指摘。そのうえで従来の経済学者や評論家が社会保障を負担としか見ていないのが間違いだとしている。
詳細は本を読んでもらった方が良いと思うが、大きく頷けるのは、社会保障そのものが事業を生み出していることや、それによって消費行動が支えられるという基本的な利益の部分が見逃されていることだ。実際、円安誘導でも輸出増えないことや、既にGDPの6割が個人消費である、ということを考えれば、社会保障の重要性は明らかだと思われる。 |