○…2016年の干支は「丙申(ひのえさる)」。干支は、十干と十二支を組み合わせた60を周期とする数値。「申」は「呻」(しん:「うめく」の意味)で、樹木の果実が熟して固まる、伸びるという意味があるらしい。「丙」は五行でいうと「火」を現す漢字で、「横に燃え広がる」「明らかになる」という意味。この2つが合わさると、「物事が大きく進歩発展し、成熟する年」になるという。こう聞くと期待が持てそうな雰囲気であるが、意味深ではある。
前回の丙申は、当然のことながら60年前の1956年。日本は戦前の経済水準を超えるまでに回復し、経済白書に記載された「もはや戦後ではない」という言葉が流行した年である。国際的には、2月にフルシチョフによるスターリン批判があり、10月には イスラエル軍がエジプトに侵入して、第二次中東戦争が勃発している。同年12月18日には、日本が国際連合に加盟を果たしている。
同年は明暗を分ける話題にこと欠かないが、世界的にも日本においてもその後を左右する「横への広がり」があった年であったのは確かだ。
翻って、2016年はどうか。まだまだ完熟する年ではないが、形がはっきりして固まって行くという見立てだ。もしかすると、新たな道が開けるかもしれない。頑張ってきた人の努力が形になっていく年にぜひなって欲しい。
○…今年の賀詞交歓会では、国内の設備投資拡大への期待感があちこちで言及されたようだ。昨年暮れあたりから、ちらほらと設備投資が拡大しているという話が出ていたので、それに新年の目出度さを上乗せしたせいか、かなり大きな話になっている。
しかし昨年6月に政策投資銀行が行った設備投資計画調査の結果を覚えている身としては、なかなか素直に投資の増加を鵜呑みにすることができないのだ。
同調査では、確かに2015年度は全産業で13.9%もの設備投資の増加が示されている。特に製造業に至っては24.2%増もの投資計画の増加が予定されていた。これは4年連続の増加となっている。その点からすると、設備投資計画はやはり増加傾向にある、と見ても良いように思われる。
しかし、問題は昨年6月時点の計画で、2016年度の設備投資計画はマイナスとなっていることだ。全産業では2015年年度に対して9%もの減少となっている。
この数字は、回答企業の心づもりとして、2015年度に2016年度分も前倒しで投資する、ということを示しているように思える。もちろん。この調査時点と現状では景況感が異なるのだから増加に転じる可能性も、当然ある。
だが足下では、中国発の株価下落、円高基調、原油の低下、政治的リスクの増加など、投資減少要因が多いように思う。 |