○…地元の合唱同好会を立ち上げて10年がたつ。音痴で楽譜も読めないのに無謀にも合唱の同好会を作ろうと考えた理由は、唱歌が好きだったことと、じいさん・ばあさんの憩いの場を作りたかったこと。思惑通り、いまや老人会と化している。いまや、みんなそれなりに楽譜が読めるようになり、新しい歌にもチャレンジしている。最古参の者としては引退も考えたが、肺の一部を摘出し、声を出すリハビリをかねて最近はまた、熱心に参加している。
最近は歌うことより、その歌の作詞・作曲者、背景などを知ることに楽しみを見い出している。例をいくつか挙げる。文語調の格調高い歌詞の「夏は来ぬ」、「秋の夜半」は、国文学者であり歌人でもある佐佐木信綱の作詞だ。NHKの朝ドラ「花子とアン」に出てくる大正三美人の一人「柳原白蓮」、そして「村岡花子」の歌の先生でもある。「埴生の宿」、「庭の千草」の日本語詩を作った里見義は、福岡藩の藩士で後に文部省音楽取調掛に奉職した。そして、歌詞が現代に相応しくないとしていまや忘れ去られようとしている「仰げば尊し」。日本の歌だとばかり思っていたが、数年前に米国で1850年代に作曲された曲だと判明した。最近は歌うことより、曲の生い立ちを調べることに興味がわく。子供たちはいまや教科書にない唱歌を知らないだろう。でも残すべき歌は多い。
○…年の暮れになると、記者懇親会というのが色々な企業で行われる。ご招待戴いた会社の懇親会には顔を出すようにしている。そんな場所で、真剣に取材をする訳でもないので、何となく相手の担当に近いような内容で雑談し、その中で興味ある話があったら、別途取材を申し込むことになるのだが、会社役員も広報担当に「あまり話すな」と言われているので、スクープが出てくるわけでもない。
その辺はこちらも心得ているので、ニュースというより、こういう場所では市場の見方や事業のあり方などを聞く方が面白い話が聞ける。
ただ、中には基本的なことが良くわからないで来ている記者もいる。それを役員にだらだらと聞いているので、脇で聞いてるこちらの方が「そのぐらいは勉強してから来いよ」とも言いたくなることもある。そういう記者はさすがに専門媒体でなく、一般の新聞記者ばかり。特に大手の新聞記者だったりすると「大して勉強もしてないクセに、俺らよりいい給料貰いやがって」という僻みもあって、どっかで話に割り込んでやろうとする。専門記者として、あまり一般に知られてない話や単語をボソっと囁くことで、相手はスゴスゴと引き下がっていくことが多い。業界誌なめんなよ、である。 |