○…原稿はパソコンで打ち、不明な点があればネットで検索という日常が定着してから何年が経ったろうか。これらツールは便利なことこの上なく、業務には欠かせない。だが、弊害もある。まず、漢字は読めるが書くとなればなかなか思い出せない。そして何よりも辞書を引く回数が激減したことだ。これは、どなたも経験していることではなかろうか。その辞典だが、たまには語句を調べるために利用する。いまやネット上で各種辞典を検索できるが、年のせいであろうかやはり現物を引きたい。
つい最近、国語辞典のことで思い出したことがある。今から15年ほど前の出版であろうか、赤瀬川原平の「新解さんの謎」という本。三省堂「新明解国語辞典」第4版を取り上げている。小型国語辞典としては日本で最も売れているらしいが、この辞典は「変」というか、とにかく用例がユニークなのだ。この辞典を擬人化して?「新解さん」として謎を追っている。辞典も面白いがこの本も面白い。
新解さんの用例をあげる。[恋愛]-特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、できるなら合体したいという気持ちを持ちながら、それが、常にはかなえられなくて、ひどく心を苦しめる(まれにかなえられて歓喜する)状態-。同辞典は現在第7版だが、ぜひ読んでみたい。
○…企業には色というものがある。各社独特の雰囲気のようなもののことだが、これが結構、大事なものらしい。某業界トップメーカーには、昔から独特の色を感じていた。逆に同じ業界でありながら、全く色を感じさせない会社もあった。色を感じさせない方は、業界では小さい企業であったが、そのうちにみるみると色が付いてきた時期があり、それとともにその会社は業績を挙げていったのを目の当たりにした。
いろいろ考えてみたのだが、この色が付く、ということは従業員に明確な方向性を示すことでもあるらしい。以前、某社の社長が従業員に言ったのは「信じる者と書いて儲けると読む。だから私を信じろ」という話をしたことがある。この話を聞いた瞬間、笑いそうになったのだが、むしろ真実なのかも知れない。
今、エンジニアリング会社やプラントメーカーを見ても「やはり色のある会社は強いな」と思う事が多い。しかも以前より色のついた会社が増えているようにも思える。肌感覚としては、この業界は全体的により良くなっているのかも知れない。その一方、色に染まれない人も増えているのかも知れない。そういう人が自分に合った色の職場を見つけてもらいたいと思う。
そのためにも、エンジ業界はよりカラフルな業界であって欲しい。 |