○…日常なにげなく使っている「おはよう」、「さようなら」などの言葉は、「実はきわめて、日本のこころをあらわしている語だ」という説を読んだことがある。
『「おはよう」と「Good morning」には、日本語と英語の根源的な発想の違いがあるのだという。それは何かというと、「おはよう」は会話の場面にいるはずの「話し手」と「聞き手」がどちらも文章に出てこず、まだ朝早いという状況に、「話し手」と「聞き手」とが「共感」していることばだというのである。対して「Good morning」は、「I wish you good morning」の省略形で、この朝がよいものであるように祈るという積極的行為を表現した文章が元になっているのだという。このような毎日何気なく使っていることばからも日本人固有の発想が読み取れる。』
もう一つ。「さようなら」は「左様ならば」の「ば」が略され挨拶になった語である。神のそばにという意味の「グッド・バイ」とは違って、「そういうことならば」を意味する。これをネガティブな意味を持つと捉える見方もあるが、実は2つの用いられ方があるという。『1つは、状況に抗することなくあっさりと諦めるというそれであり、もう1つは、潔さ・美しさとしてのそれ』という説。
常日ごろ我々は「日本のこころ」を表す言葉を使うが、これは現政治家が多用する「日本精神」とは似て非なるものだ。
○…「今年は9月にもゴールデンウィークがある!?」とつい先日、気が付いた。
9月19日(土)から23日(水)まで5日間の連休となるもので、世間様では「シルバーウィーク」と呼ばれているらしい。敬老の日と秋分の日の間に国民の休日というものが入り、さらに土日と上手く繋がるためだ。だが、定期刊行物を出しているわが身にとって、このシルバーウィークはゴールデンウィークと並ぶ苦行となる。雑誌の発行日は変わらないのに、編集作業時間は著しく制限されてしまうのだ。GWと同様の前倒しスケジュールが再び訪れることに、今から戦々恐々としている。
最近、日本に来た外国人を紹介するTV番組がある。成田空港で来日外国人を捕まえてはインタビューかけ、あわよくば密着取材させてもらおうという趣旨だが、インタビューに応える欧米人の休みの長さといったら、驚くばかりだ。日本中を自転車で旅をしたドイツ人も、日本中のラーメンを食べ歩いたたチリの青年も数カ月の休暇を取って日本を旅して帰っていった。
日本は5日程度の連休をちまちまと作ってばかりで、こうした長期に亘る休暇を取れることが少ない。異文化を理解するにも、数日の旅行では難しい。日本人の異文化理解への姿勢が乏しいのは、休暇の取り方の問題も背景にあるのではないか。 |