日本年金機構の個人情報流出問題で、「批判すべきはウィルスメールを送った犯人」という意見をネットで見かけて、ビックリした。確かにこうしたネット犯罪そのものを許してはいけないのだが、通常の事故や事件と異なりこの場合に「批判すべきは犯人」というのは、焦点がズレてしまっている。
サイバー攻撃や、ウィルスの配布などネット犯罪はもはや常態化している。それ自体を許すべきではないが、現実にそれは存在しており、システムセキュリティはそうしたリスクを前提として構築されなければならない。特に日本年金機構のような国の組織は、国民の個人情報を扱っているのである。その個人情報がネット犯罪者に漏れてしまっては、国民の生活そのものが脅かされることになる。したがって、これを扱う組織、個人には民間より高いセキュリティ意識が必要であり、その管理者にも、大きな責任がある。今回の件でいえば、ウイルス感染で容易にデータが大量に流出してしまうようなシステム上の欠陥や、パスワード設定すべき規定であるにも関わらずそれがほとんど守られていなかった、というデータ管理のずさんさが指摘されている。「批判すべきは犯人」という意見はこうした問題から視点をずらしてしまい、セキュリティ向上には何の役にも立たないのである。
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