どういう訳か日本では「ドイツのFIT制度は失敗した」と評価されている。だが実際には全く逆だ。もともとFITは再生可能エネルギーのコストの低減を目的としたものであるため、再エネの価格が十分低下した時点で、FIT制度を廃止するのが本来の姿であった。実際にドイツでは、再生可能エネルギーのコストは「グリッドパリティに達した」とされているので、FIT制度が廃止になって当然。というよりむしろ当初の目標を達成したわけだから、成功したと言える。
この欄でも以前に若干紹介しているが、世界では再生可能エネルギーのコストが急速に低下しており、商業的に競争力を発揮してきている。
そもそも、再生可能エネルギーは燃料費が基本的にゼロである。そのため自由化電力市場においては、メリットオーダーが効いてくるため、再生可能エネルギーの競争力が高くなる傾向にある。実際にドイツやアメリカなど電力自由化が進んでいる国では、メリットオーダー効果で再エネが石炭火力や原子力発電を圧迫する例も出ている。つまり、毎日の電力が市場でコストの安い順に売れていくため、コストの高い石油、ガスなどの火力発電設備の稼働率が大きく低下した。昨年、E.ONが原子力および火力発電事業を本社から切り離したのも、大規模集中型電源による事業の採算性が悪化したためだ。
(以下略) |