アジアインフラ投資銀行(AIIB)に、日本が参加を見送ったことは、日本政府がアメリカから独立した経済外交ができない、ということを改めて内外に示しただけだった。
インフラシステム輸出を国策として掲げておきながら、中国が主導するというだけの理由でAIIBへの参加意思決定が出来なかったのは、安倍政権の経済政策の大きな失点だ。周知の通りアジアのインフラ需要は極めて大きく、それに対する資金ソースは極めて小さい。しかも先進国が主導する、融資のハードルが高いADBや世銀のような融資機関だけでは、その需要を賄うことは到底、できない。アジアは世界経済の成長エンジンと誰もが理解していながら、それを支援する体制を確立することが出来なかったのだから、AIIBのような構想はむしろ日本としても歓迎すべきなのだ。日本は「不透明さが残されている」(麻生副総理)として参加を見送ったが、そもそもまだ構想段階であり、明確に組織が立ちあがっている訳ではない段階で、一体何に対して懸念を示したのか、良くわからない。むしろ中国単独ではなく、50近い国が参加するような組織で、中国だけの思惑に沿って動く組織が作られるというのは、ちょっと想像できない。(以下略) |