日本企業はとかく日本企業と競合することが多い。エンジアリング業界でも海外プロジェクトの競合相手企業で最も多いのが英米独仏企業と並んで国内企業となっている。国別で考えれば、日本企業同士の競合が最も多いという訳だ。
日本国内市場でのみ、事業を展開しているのであれば、それもある程度はしかたないのかも知れないが、海外市場ですら日本企業同士が競合しているというのも、効率が悪い。それでなくとも、海外プロジェクトは国内プロジェクトよりも利益が安定しないものである。
こうした状況が起こってしまう要因の一つは、日本企業に多様性が足りないからなのではないか?とふと考えた。同様のビジネスモデルを多くの企業が共有しているということが、競合を増やし、経済効率を下げていると見る事が出来る。
自治体などは、まさにそういう事を行っている。どこかの自治体が成功させている事業が紹介されると、それはすぐに全国の自治体に伝えらえ、成功事例の視察団が殺到する。某自治体はあまりに視察が多いので、有料化すると言ったということもあった。
こうした視察が全て横展開される訳ではないにしろ、基本的にどこの自治体も同じような政策を展開することになり、同じようなグランドデザインで街づくりが行われる結果、全国何処に行っても、同じチェーン店で構成される似たような街並みとなってしまうのだ。
日本は周囲を海で囲まれている分、異文化との交流が歴史的に限定されてきた。現代では、交通も情報ネットワークも発達したので、交流はいつでも可能となってはいるが、心的に日本人は外国文化を「お客様のもの」とか「借り物」として自国文化とは一線を引いた扱いをどこかでしている。本質的な異文化交流はほんの最近になってようやく始まったばかりであり、多様性についてもまだまだ許容度は高くないようだ。そうした心的ハードルが、事業モデルの多様化を阻み、経済効率性を引き下げている、と見える。 |