BCP(事業継続計画)は、災害などで企業がダメージを受けても、企業活動を継続できるよう、事前に対策を立てておく事であり、阪神淡路大震災を契機に、日本でも注目されるようになった。そして東日本大震災では、BCPの意味に大きな変化が起こったといえる。それは電力供給途絶という事態を経験したことで「エネルギー自立」が対応策として加えられたということ。
以前は緊急時の電源確保に関しては、消防法で総合病院や一部の大規模商業施設に設置が義務付けられていただけであり、一般の企業がそれを考える必要は無く、エネルギーコスト削減を目的とした省エネシステムやコージェネレーションの導入があっただけだ。だが企業向けの電気料金の低減などで、それもメリットが減少して導入にブレーキが掛っていたし、そもそも緊急時の自立電源確保という意味はほとんど無かった。
最近では、工場のマイクログリッドシステムなども提案されているが、担当者に聞くと「省エネだけではやはりペイしない」という。ただ、再生可能エネルギーなどを使って非常時に必要な電力の一部を自立して供給することが可能なので、BCP設備としての機能も持っている。
今までの非常用電源は、導入しても一度も使わないまま、取り換えなければならないということもあり、設備投資として非常に効率が悪い。対して、普段使っている省エネや再エネシステムを活用することでCO2削減にも役立ちながら、非常時には独立電源として事業を継続できるようになるとなれば、投資の魅力は上がるのではないか。
こうした「BCP+再エネ、省エネ」という流れは、東芝と川崎市が進める「川崎マリエン」のように、最近の一つの流れとして出始めてきたようだ。今後導入が進めば、再エネ導入拡大とエネルギー効率化、そして国土強靭化の一石三鳥のシステムとなるかも知れない。ただ「BCP投資を考えている経営者が少ない」という声もある。経営者の意識改革の方が問題かもしれない。 |