国内電力会社が、再生可能エネルギーの系統への接続に関して回答を保留しつつある。変動の大きい太陽光発電をこれ以上受け入れる余地が無い、ということで、系統容量の問題から接続を拒否しつつある。一方、米国で送電線事故が多発した際に、日本では二重化されていて、同様の事故は起きにくいと電力会社は説明していた。電力自由化議論の際には自由化により送電線の管理・投資が甘くなり、米国のような大規模停電が起こる、と説明していた。また、同じ再生可能エネルギーでもバイオマス発電や地熱のような安定した電源なら、歓迎されるという声もある。
これらはそれぞれ、問題の視点が違うとは言え、並べてみると日本の送電線は良いのか悪いのか解からなくなる。いち早く再生可能エネルギーの接続を拒否し始めた九州電力は、川内原発の再稼働を控えており、その分の容量を確保するために再生可能エネルギーを拒否しているようにも見える。
送電線の実情というのは電力会社以外には見えにくい。電力会社が「こうだ」と言ってしまえば、外部から「いやそれは違う」という反論は出来にくい。それだけ、送電事業というのは公益である電力事業の根幹をなすものでありながら、情報が十分にディスクローズされていないものでもある。
現在、再生可能エネルギーはFITで急速に増加しているが、そのシェアは欧米に比べてまだ低い。その現状で接続拒否が出るのも、日本の電力網が分断されていることも大きな原因だ。この現状では安定した再エネが優先される方向に動くが、例えばバイオマスはその燃料をわざわざ海外から輸入している。もちろん、それはそれでCO2削減にはなるのだが、再エネの特性である不偏的なエネルギーの活用と、それによるエネルギー安全保障という面からは、どこか歪な形となっているように感じる。
欧米並みの量まで、正しい姿で再エネを拡大していくためには、今後予定されている、発送配電分離と、送電網の統合がやはり不可欠であると再確認される状況だ。 |