円安状況は定着しているものの、輸出額は一向に伸びていない。円安進行させれば、輸出が伸びてGDPを押し上げる、と政府は説明していたが、輸出が伸びない以上、円安誘導による景気回復というのは絵に描いた餅で終わりそうだ。
安倍政権発足時から、政府も経済評論家(?)もこぞって同じ話を繰り返してきたが、日本の製造業が海外展開を進めてきている状況のなかで、そんなシンプルな話で景気が回復する訳はない。GDPで最も大きなシェアを占める個人消費が伸びなければどうしようもないというのは10年ほど前からの常識のようなものだと思っていたが、世間的にはそうでもなかったようだ。とりわけ、政府の決定を左右する立場に居る経済学者がこれほど日本の経済状況を理解していないとは思いもよらなかった。
“3本の矢”と称する政府の経済政策も悉く実を結んでいない。「皆さんの給料が上がります」とした首相の言葉もむなしく、7月の実質賃金は前年比マイナスとなっている。それも13カ月連続のマイナスである。
また消費税増税後の4〜6月。TVではしきりに影響は限定的と報じていたが、実態は全く異なっている。内閣府の発表でもこの期の実質GDPは前期比で1.8%の減少であり、年率に換算すると7.1%減という恐ろしい数字となった。東日本大震災の時以上の落ち込みであり、リーマンショックに次ぐ規模のマイナスなのだ。
じゃあ、雇用はどうか?と見ると、総務省が発表した完全失業率も7月までに2カ月連続で悪化しているのだ。厚生労働省の統計では有効求人倍率は1.1倍となっているが、ハローワークの求人はとかく質が悪く、しかも実際には求人をしていないカラ求人が多いということで有名である。
政府や経済評論家(?)は7〜9月期は持ち直すと見ているが、こうした現状を真剣に見つめているのだろうか?「来年の10%への消費増税は予定通りやるべき」という声が相次いでいるが、不安はいや増すばかりなり、だ。 |