○…7月末に厚生労働省が、「男性の平均寿命は初の80歳超え 女性は世界一の86.61歳」になったことを公表した。2013年の日本人平均寿命である。前年と比べると男性は0.27歳、女性は0.20歳延び、男女とも過去最高を更新したようである。厚労省は「日本人の主要な死因であるがん、心疾患、脳血管疾患と肺炎による死亡状況が改善していることが要因。医療技術が進歩すれば、男女とも寿命はまだ延びる可能性がある」としている。
2度もがん手術を経験したものとしては、ここまで延命できた要因は医療技術の進歩によるもの以外なにものでもないことは大いにうなずける。個人的には、もしかすると男性平均寿命まで生き延びてしまうのではないかという危惧すら抱く。さらに医療技術が発達すれば、百歳を超える人が巷に溢れることもありうるのだろうか。
不老長寿は大昔から人間の悲願であった。平均寿命が延びたことを嘆く必要はない。だが、現在の状況の中で延命をひたすら求めることは果たして幸せなのだろうか。
真に人間らしく生き長らえている人はどのくらいの割合だろう。70歳の子供に95歳の親の面倒を見させる、80歳の奥さんが85歳の夫の介護をする、そんな馬鹿な高齢者介護方針が正々堂々とまかり通っている。老老介護の行くつく先は日本の家族社会崩壊であろう。
○…世界情勢・わが国の政治状況・社会のとんでもない事件の発生とわが国の近未来が心配な今日この頃であるが、本日は日本の古代史に遊んで見たい。
邪馬台国論争というのが江戸時代から続いている。3世紀の日本にあったという邪馬台国がどこにあったか、なかでも九州か大和かという論争である。中国の正史である魏志の倭人伝を普通に読めば、大和であり、江戸時代以前は日本の前身と認識されていた。本居宣長が日本が中国の属国であることを嫌って九州説を唱え、倭人伝の地理的過誤を媒介に九州説が肥大化していった。
しかし最近の考古学の発見、とくに奈良県の纏向遺跡や箸墓古墳などの年代が理化学的方法で3世紀と邪馬台国の時代と一致したことから、邪馬台国は大和と、邪馬台国論争はほぼ終焉したと言ってよい。
3世紀は弥生時代など戦後の日本の古代史学会は時代を繰り下げるのが通説となっていた。それが理化学的や純考古学手法によって弥生時代の開始が大幅に繰り上がり、3世紀は古墳時代・古大和王朝の時代と戦前の認識に回帰している。
ところが文献史学者がこれを受け入れることが出来ていない。考古学的発見を解釈するには日本書記・古事記など文献を参照するのが不可欠なのだが、考古学者の恣意的な解釈がまかり通っている。 |