電力自由化に向けた第二弾となる法改正が国会を通過した。2016年にも小売りの全面自由化が実施されることになる。また来年にも第三段の法改正が予定されており、これによって電気事業者は法的に発電事業会社、送配電事業会社、小売り事業会社に分割される。これは2018〜2020年をメドに実施される予定だ。
自由化、とは言うが実は送配電事業に関しては現状より強い規制業種となる。地域では単一の送配電事業社が電力流通業務を独占する事になる。これは送配電設備の多重投資という非効率的な設備形成を防ぐことが目的だ。現在の電力体制となる以前には実際、一軒の家に複数の会社からの送電線が引き込まれていたという。これを再び繰り返すのは社会的にも宜しくないということで、送配電事業は認可制で料金規制も課せられる。これに対して発電事業者は届け出制、小売り事業者は登録制となるという形での検討が行われている。そして小売り事業者に電力の確保義務が課せられる。発電事業者との契約や卸電力取引所での確保見込み、自主電源確保などが登録申請時に審査され、これをクリアしなければならない。こうすることで、供給力を確保出来、競争原理も活かされるという訳だ。
この電力自由化制度は、かなり色々なことが良く検討されている、という印象だ。その内容を聞くとお世辞でもなんでもなく、世界で最も良くできた電力自由化市場となりそうである。面白いのは、卸電力取引所での取引量の増加に伴って、電力先物取引を認可することが考えられていること。商品先物取引法に、新たに電力を対象に加えることで先物取引を行えるようにし、電力価格の変動を極力抑えようという考えだ。これには投機マネーの流入で電力料金が高騰するのでは?という不安の声もある。エネ庁の担当者は「マネーゲームにならないような制度とする」としているが、ある程度マネーゲームの要素が無ければ逆に機能しない。個人が参加できるようになるかは解からないが、電力を楽しむ一つの要素となりそうだ。 |