EnB 09号 目次
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■EYE詳細へ
規模拡大だけで評価できない業界再編

■GLOBAL Business
・Alstom争奪戦、GE有利で進展
・Siemens、Rolls-Royceのガスタービン部門買収

■GLOBAL REPORT
米国デザインファーム、速やかな回復が必要
2014年の米国のエンジニアリング企業の動向(1)−デザインファーム

■TOPICS
動き出すカナダのLNG計画

CSMS認証、日本が世界で初めて取得

■NEWS Flash
・TOYO、ブラジルでアンモニアプラント受注
・東芝、アルタミラ火力向け蒸気タービン受注
・三菱重工、シーメンスと製鉄合弁設立へ
・神鋼、加古川製鉄所に新溶銑処理設備
…Hitz、川重、ごみ処理施設を受注
…伊藤忠、バイオ航空機燃料技術の米社に出資
…神戸製鋼、印FLSにペレットプラントをライセンス
…荏原製作、中東にポンプサービス拠点
…IHI、グループ業務統括室を設置
…神鋼環境、木質バイオマス事業を開始
…日揮、新体制で飛躍へ

■Projects News
…アラスカ州議会、LNG計画推進法案を可決
…アルバータ、オイルサンドとCCSに1.4億加ドル
…Socar、製油所建設でローン契約へ
…BASF、米国でプロピレンを検討
…BASF PETRONAS、FluorにEPCM
…Basin Transload、原油パイプライン建設へ
…カナダ、Triton LNGに輸出認可
…Celanese、南京のPPSコンパウンドを増強へ
…大宇建設、ナイジェリアでガスプラント受注
…Enterprise、PDHユニット建設で認可取得
…PNG LNGが生産開始
…FW、Yanbu3造水発電の2ユニット受注
…Bonaparte FLNGに遅れ
…GEとAramco、海水淡水化技術開発へ
…ICA Fluor、メキシコでガスパイプライン受注
…印IOC、HPCLの石油石化PJを否定
…ジャカルタで2000MW石炭火力
…DOWの米LAO計画で、物産〜出光が契約中止
…カザフAtyrauで石化コンプレックス計画
…MagnoliaLNG、FERCに認可申請
…Marathon石油、製油所を増強
…カナダ政府、2件のLNGに輸出認可
…オハイオのGTCCが認可取得
…OOC、Sohar製油所で28億ドルを調達
…SNC-Lavalin、ADCOからFEED受注
…Technip、BasraのNGLでFEED

■Procurement
・日東工器、DCポンプ小型・軽量の新機種
・チノー、小型の遠赤外線熱画像カメラ
・SAPジャパン、3D データ活用アプリケーション

■フォーラム

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■エンジニアリングダイジェスト

■データ・ファイル

■最近のプロジェクト受注・契約状況

■Editorial 詳細へ

EnB 09号 表紙

 

EYE
規模拡大だけで評価できない業界再編

プラント業界で再び、世界的な再編が進みつつある。仏アルストムのエネルギー部門を米GEに売却する動きが出たところで、シーメンスがこれに対抗して買収に名乗りを上げた。東芝はGEがアルストムを買収した際には、GEから送配電部門の買収を提案する方針という。その一方で、三菱重工業はシーメンスと製鉄機械で合弁会社の設立を発表する。さらにシーメンスが英ロールスロイスのエネルギー部門の買収に合意した。
 こうした業界再編には、マーケットの変化が大きく関わる。例えばGEのアルストム買収は、世界的にエネルギー部門の変質が背景にあるように見える。米国も欧州も、再生可能エネルギーの拡大と原子力の停滞、米国では石炭からガスへの転換、欧州での石炭火力の見直しなど、発電設備の構成は多様化しつつあり、機種としても地域的にもポートフォリオの拡大は重要な戦略だ。
 製鉄機械では、世界的な生産過剰状態が続く中で、メーカー同士の競合の激化が予想されており、上流から下流までを一貫して提供できるプラントメーカーとして、全世界を対象として領域を拡大することで、規模のメリットとシナジー効果により競争力を強化するという判断だろう。最近の再編も、市場が大きく変化していることに対応した動きが続いているということだ。
 ただ日本では事業統合はそれだけで高評価を得られるが、事業買収や合弁による事業の規模拡大が、必ずしも企業価値の向上を意味する訳ではない。
 例えば製鉄機械は、個別の機械単位での案件が殆どであるため、メニューを拡充することが事業強化となる訳ではない。かつて日本の製鉄機械が大幅な再編を行ったが、世界の製鉄機械市場で事業を拡大できたかというと、市場の制約もあったとはいえ、限定的であったと言わざるを得ない。今回の一連の動きの中でも、東芝のGEに対する送変電の買収提案には、GE側のメリットが見えてこない。
 業界の再編では、事業規模の拡大よりも、企業価値の向上が出来るかどうかが問われる。

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EDITORAL
編集後記

○…リニア新幹線が今秋の着工に向け、手続きが進んでいる。東京大阪間を1時間で結ぶという夢の超特急。だがこの9兆円という巨大プロジェクト、JR東海が負担とはいえ債務保証している国家プロジェクト。環境アセスメントなど手続きが先行しているのに、国民の関心があまり高くない。。
 既存新幹線の4.5倍の電力を消費するという。この点からしても原発事故以来、省エネが必須の日本において許されるべきプロジェクトなのだろうか。素朴に考えて、東京大阪間を1時間で結びたいのなら、航空機で十分。空港とのアクセスの高速化が正しいSolutionだろう。最近の東京新聞が、沿線予定地への取材を含め、電磁波の影響、地下水脈の破断、工事残土の処理などなど様々な問題、環境破壊の可能性などなど、国民的議論の不足を指摘している。
 リニア新幹線の目的はJR東海は、①現行東海道新幹線の輸送力増強の必要性②老朽化への対処③移動時間短縮をあげている。①は現行輸送力が限界というのウソ、また今後の増大も人口・経済を考えればありえない。②は現行新幹線の改修を進めるのが当然の企業行動。③前述の航空機もある。IT化の中で必要性が低い。リニア新幹線の必要性については、橋山禮治郎氏の集英社新書「リニア新幹線」が参考となる。

○…オバマ大統領が来日する少し前の4月中旬、米国カンザス州で白人レイシストによるユダヤ人襲撃事件があり3人を殺した。犯人はかの有名なKKKの地方組織のリーダーであったという。かつて白人至上主義を掲げて数百万人の会員を誇り、殺人を含む暴力で人種差別を徹底しようとしたKKKは非合法化されたことから、いまや衰退の一途をたどっていた。
 ところがここに来て、その組織は復活の兆しがみえてきているとのことだ。きっかけは、どうやら黒人であるオバマ大統領の誕生らしい?彼らにとっては、黒人やヒスパニック、そしてユダヤ人などはみな、社会の秩序を破壊する異分子だ。したがってこの世から抹殺すべき存在だ。そんな怒りが、今回のような事件の背景にあると分析されているという。
 一方、日本でもナショナリズムの高まりとともにレイシズムが蔓延しそうな気配をみせている。蔓延という表現は正しくないかもしれない。「殺せ}、「死んでしまえ」というようなヘイトスピーチをがなるデモ行進に対して、一般市民は無関心であるのだ。このような傾向は不気味ですらある。いま偏狭なナショナリズムが高まりつつある表れであり、日本社会が病んでいるのではなかろうかと危惧する。

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