EnB 08号 目次
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システムの価値向上を

■REPORT
インフラ輸出30兆円目標目指し支援展開
機器売りからサービス多角化で競争力を
経済産業省国際プラント・インフラシステム・水ビジネス推進室長 川村 尚永氏

■REPORT
転換期を迎えるインフラシステム輸出

■GLOBAL Business
・中国海外プロジェクト受注、12%減
・KBR、新CEOを外部から登用

■TOPICS
支援拡大、新用途で新エネ拡大を
新エネルギー財団が提言

■NEWS Flash
・TOYO、インドで再ガス化設備連続受注
・HITZ、インド向け初のごみ焼却発電プラント受注
・神鋼環境、ベトナムで大型水供給設備受注
・MHPS、米国向け初のJ形GTを受注
・IHI〜POSCOエンジ、タイでLNG受入基地受注
…東芝〜GE、石狩湾新港発電所を受注
…月島機械、消化ガス発電事業で契約
…タクマ、新下水汚泥焼却発電システム開発
…Hitz、浮体式洋上風力でStatoilとの協業延長
…日立製作所、欧州原子力研究センタ設立へ

■Projects News
…サウジ電力、Dhuba1IPPをEPCに変更
…Sabicと三菱レイヨン、再入札へ
…クウェートKNPC、製油所港湾設備等でEPC入札へ
…イラクBGC、Al-Ratawi NGLで設計作業開始
…Jizanガス化発電でSaipem、TRが有力
…Fujairah製油所入札が遅れ
…アブダビNasr油田開発で入札へ
…オマーンSohar石化PJでWorleyParsonsがPM
…オマーンSalalahでLPGプラント計画
…クウェート、Al-Zour製油所で入札
…ドバイDEWA、石炭・ソーラーIPPでEOI募集
…ABB、アブダビで油ガス田発電設備増強PJ受注
…Alstom、イラクで発電プラント受注
…CB&I、中国の製油所向けにプロセスライセンス
…FW、ベトナムNghi SonからCO焼却炉受注
…エジプトAin Sokhna石化をTecnimontに発注
…GS建設、ベネズエラの製油所PJでPM
…インドネシアで2,000MW石炭火力計画
…KBR、ドバイJebel Ali製油所PJでFEED
…LindeとShell、共同でエタンクラッカー建設
…米Magnolia LNG、SK建設にサービス業務発注
…Jordan Cove LNG、FEEDステージへ
…バーレーンAl Dur2、スキーム選定中
…クウェートKNPC、ガス圧保護システムでテンダー
…Shintech、ルイジアナでエチレンプラント

■Procurement
オリンパス、パイプ・タンクなど検査の超音波厚さ計
日立、クラウド型機器保守・設備管理サービスを外販
富士重工業、スバルインバーター発電機「SGi18」

■海外・国内主要プロジェクトの動向

■データ・ファイル

■エンジニアリングダイジェスト

■Editorial 詳細へ

EnB 08号 表紙

 

EYE
システムの価値向上を

 インフラシステム輸出で問題となるのは、そもそも、その提案が相手国のニーズに合ったものであるかどうか、と言う事だ。ベトナムの高速鉄道計画では、日本の新幹線は明らかに過剰品質だったため、頓挫したのだ。水インフラについては、大規模システムでのコンセッション契約の成功例はある。だが、アジアではむしろ、比較的小さい規模の水道事業が多く存在しており、こうした案件での取り組みはあまり活発ではない。プラントシステムとしては規模が小さく、資金を投入しても回収できない可能性もあるためだ。日本の水システムは基本的に大規模化しており、うまくソリューションとして提供できないという側面もあるだろう。
 むしろ、そうした中小規模のインフラこそ、新興国のインフラには適合しやすく、大いに貢献できる分野であるが、日本は鉄道にしろ発電にしろ水にしろ、保有技術の規模が大きいのである。このままではインフラシステム輸出の拡大は大規模システムに特化していく方向にあるように思う。それはシステム価格も高く、償却も長い。事業として規模が大きい分、利用料金も高くなってしまうため、ごく限られた案件しか実現しない。
 日本の都市インフラを新興国、途上国にソリューションとして提供していく、というのは確かに魅力的な案である。日本が長年苦しんできた公害と言う問題を、新興国が旨く避けて発展していければ、これほど意義のある話はない。が、日本がやってきたことをそのまま移設することは、コストの面から見て、あまり現実的では無さそうだ。
 今後、インフラシステム輸出を拡大させていくには、日本のシステムの横展開ではなく、新技術の創出も含めたソリューションの提案力だろう。現地に適合してこそ、インフラは機能し、持続的にサービスを提供できる。
 そうした日本型インフラシステムの価値を向上して、求められるモノとサービスを提供していくために、業界や省庁の壁を取り払って、知恵を集約する必要がある。

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EDITORAL
編集後記

○…日々大々的に報道される韓国船の沈没事故は、乗船していた人の大部分が高校生であったことからさらに痛ましさを増している。船長をはじめとして、乗客を誘導もせず逃げ出した乗員に批難が集中している。「こんなことはわが国では起こらない」といっている識者もいた。だが、この事故はよその国の出来事として見過ごすことはできない教訓を含んでいるのではあるまいか。
 この事故の調査が進むにつれて、問題は乗員だけではなく、彼らを雇っている会社にも責任があることがわかってきた。乗員たちは「自分らは緊急時の安全対策訓練など受けたことがない」と言っているように、会社が乗客の安全に対して殆ど関心を持っていなかった実態が明るみに出てきた。さらに問題なのは、この船長が会社の正規職員ではなく、非正規の契約社員だったということだ。非正規の船長には、会社に対する忠誠心もなく、自分の職務に対する責任感も非常に希薄だったのではあるまいか。この事故は雇用形態のあり方の問題とも捉えることもできる。
 日本でもバス会社の過酷な労働条件が影響したと思われる大きな交通事故が発生している。あくなき利益追求の結果、非正規の雇用を増やし、安全対策をないがしろにするようなことは我々にはないと言い切れるだろうか。

○…理研事件に関連して、分子生物学会の九大中山教授がNHKの取材に対して、「作製に成功というのは全ての証拠を示す正確な論文として発表する必要がある。手順が踏まれていない場合は、成功したとは科学の世界では信用されない」 ごく当然の話だ。これからいえば、O女史グループの論文も、O女史の会見も科学的には問題外。S副センター長の会見もSTAP現象があると信じているという主観的な表明で科学者の発言とは思えないものだった。
 中山教授は第三者に追跡できるものが証拠になる、これを実現するものが「正しい実験ノート」とし、研究者の素質は論理性に尽きるとする。O女史に対して、理研調査委員会が研究者として未熟とするのは、伝えられる事実や本人の会見からするとむべなるかなと言わざるを得ない。理研のW教授・副センター長、それ以前の指導者であるW大・TJ大の教授の責任は重い。
 論理性というのはこうした実験に支えられた精密自然科学だけでなく、自然科学一般・工学さらには、社会科学・人文科学においても科学性を担保する最大のものだ。実験という客観的手段に支えられない諸科学・学問においては、論理性が失われしばしば倫理性やイデオロギーが蔓延することが少なくない。例えば歴史学における、○○史観といったものだ。

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